「馬鹿ですかあなた馬鹿ですか」
「‥馬鹿なのはジャーファルでしょ」
休憩時間でのこと。仕事仲間である なまえに上着を盗まれた。これでは仕事ができないと顔をしかめる。本人は全く返す気はないようだ。
「休憩時間が終わってしまいます仕事できないでしょう?」
「盗んだなんて‥言い方悪いですよジャーファル」
「窃盗は罪です」
「ジャーファルの馬鹿!」
ばしんと思いきり上着をぶつける。床におち、ついた埃を軽く払い、袖に手をとおした。
ジャーファルのにぶちん。なんで気がつかないのさ。わたしたちが一緒にいられる時間ってこの時間だけなのに。やっぱりジャーファルは顔がいいだけの野郎だ。
「‥最後の方洩れてますよ」
「ふんだバジャーファル」
「子供ですかあなたは」
「ジャーファルが悪ぃんだから!寂しいの知ってるくせに構ってくれないし!触れてくれないし!‥んっ」
突然のキス。最初から濃厚なものだった。そんな彼のキスに腰を抜かしてしまったわたしに耳もとで囁いた。
「‥歯止めがきかなくなりますけどそれでもいいんですか?」
「‥ふえ‥!?」
どうやら我慢していたのは彼も同じだったようだ。わたしは頷き彼を誘う。甘い囁きに負けてしまった彼は仕方ないな、って。それはもう、幸せそうに笑ったのでした。
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