ニールが大好きだった。精神崩壊するぐらいに。いなくなってからとてもすごく大切だったのだと。もっともっと好きだって伝えればよかった。抱きしめるぐらいじゃ物足りない。‥でもこれ以上どうすればよかった?
ニールが死んでからのわたしはどんなだったか。まったく覚えてなくて酷く周りが心配してることはぼんやりと分かった。
でも声がでなかったんだ。表情を動かすことも。
「おまえはいつまでそうしてる」
誰?あなた、誰だっけ?
「皆、辛い。だがいつまでも引きずったって仕方ないだろう?前を見ろ」
煩い。あなたになにが分かるの?
「ロックオンはおまえの笑った顔が好きだった筈だ。葬式にもでてないだろう?」
彼、刹那はわたしの手をとった。
「これで本当に最期なんだ。笑え。笑って送り出してやれ」
「‥‥‥」
「それが今、おまえが精一杯あいつにしてやれることだ。」
ぽた、ぽたぽた。たくさん泣いた筈なのに。まだ涙がでるなんて。
どうしよう。感情が抑えられない。
「‥馬鹿だロックオンは馬鹿だ‥!」
気がついたら刹那の服にしがみついて声を荒げて泣いていた。
「馬鹿だあ‥っ!」
もうコントロールできなくなった感情は涙と叫び声に変わる。刹那はただ黙ってわたしを抱きしめててくれてた。時折頭を撫でてくれる暖かく優しい掌がロックオンを思い出させた。小さかったけどいまのわたしには十分だった。
「刹那‥ありがとう」
刹那は笑うだけだった。見たことのない彼の優しい表情。
ねえ、ロックオンわたし笑ってるよ。
だから安心して幸せになってね。
title:muse