「響みーっけ!」
「・・あ」
階段の隅っこで小さく丸まって座る五百住を発見して、声をかければびくん、と体を揺らしたのだった。同じく腰をおろし、下へと目線を送ればお昼ごはん中のようだ。
律儀に太股の上にランチョンマットのようなものをひいて食べる五百住の横にはタローがソーセージを頬張っていた。
「や、タロー」
タローはソーセージに夢中なのか小さな手を返事がわりにあげた。
その姿にくすり、と口元を緩ませた。
「そうだ、響
都枝さんがさがしてたよ
オカルト部今日は5時から特番の恐怖の心霊スペシャルを録画して見るのが主だって」
「・・そう」
「響チャンはそんなの興味ないやい
今はフォークロアの方が優先だもん」
「そっか
だから授業中なのにこんなところで見張ってるわけだ」
ちらりと2人を見て正面のソレを見た。
「響チャン!
ソーセージ、まだマスタードついてた」
「はい」
「わあいッありがと
響チャン!!」
タローに柔らかな微笑みを向ける五百住は普段とは違っている。
普段は声をかけずらいオーラを纏っているし、あまり授業にでたことないからかなのか友達が少ないことが淋しかったりする。
「・・響
普段からその表情してれば友達できるのに」
「私にはタローがいるからいいもの」
「そういう問題じゃないと思うんだけどな」
ため息を吐けばおろしてた腰をゆっくりとたちあがらせた。
五百住と目が合い真剣に見てくる彼女に不思議がる
「あなたがいるもの」
「響」
なんてさびしそうな瞳。
ゆらゆら泳いでぶくぶく沈む。
(ねえ、そんな顔しないで)
「私までかなしく、なっちゃうよ」
(あなたが いれば かなしく なんか ないもの)