みじかいの | ナノ

――毎晩違う女を抱いても満たされない。
なぜだ?


「クグラ様!」


「なんだ、なまえか」

声をかけてきたのは昔の幼なじみだったなまえ。いまは俺の属鞘の1人だ。
なまえとは俺が鞘になるまえ一緒によく遊んだ。
思い返せば初キスはこいつだった。
身体を重ねたのも――
その時は心が満たされて気持ちが和らいだ。


「また女の子のところですか!?
そんなことしても辛いだけ・・っ」


「うるさい
お前になにが分かるんだ」

なまえは酷く怯えた顔をしていた。
身体も少し震えてたのが分かり、ずきんと胸が痛んだ

・・てかなぜ心を痛める必要がある?
こいつとはもうなんもかかわりあいはないんだ。
知るもんか。
こいつのことなんか・・


「・・・っ!
クグラの・・ばか!」


いきなりの平手打ちがクグラを襲う。
目の前がぐらつく感覚をおぼえた。


「な・・!?
なにすん・・「クグラには私がいるんだから!
だからそんな悲しそうな顔しないでよ!」」


ぎゅう、と抱きしめられる
ふわっと甘い香りが鼻をくすぐった。


「・・いつ俺がそんな顔をした」


「ほんと態度だけ偉くなっちゃって
中身は昔のまんま。

―――、すきよ クグラ」


なまえの柔らかな唇が押しあてられた。
何年越しのなまえとのキス。


「・・ぷっ
今更照れてるの?クグラ」

「今すぐ襲ってやる」


「本望です」


「・・・!?」



一枚も二枚も君の方が上手だった。