みじかいの | ナノ

私は吸血姫

悪魔の血を好む






深夜24時
人気がない公園に少女が男性と抱き合ってる。
だがそれは違い、少女が男性の首筋に噛み付いているのだった。
つー・・・と一筋の血が流れおちる。


「ん・・っ」


少女は身震いした。
唇をはなしながらそっと呟く。


「・・・不味いわ」


青年はその場で倒れこんだ
血で汚れた唇を拭う。
やっぱり人間の味は口にあわない。
悪魔の血がほしい。
極上に甘いあの血を一滴のこらず飲み干してしまいたい。
そう考えるだけでぞくぞくした。

じゃり・・・っ

足音がして砂をかむ音。
なまえがゆっくり体を音の方へ向ければそこにいたのは幼なじみの雪男だった。
お得意の銃をなまえにむける。


「どうして・・・」


彼は信じたくないような目でなまえを見る。


「・・・・・っ、雪男のせいよ」


「僕の・・・・?」


「私が吸血姫で、雪男が人間だから」


なまえの言葉に耳を傾けながらも銃を向けている手をおろすことはない。


「この傷痕は君だったのか・・・・」


首に貼ってあるバンソーコーに触れる雪男
牙をみせるようににたりと笑う


「あなたの血、とても美味しかった・・・
でも人間だからかしら?
悪魔の血を好む私にとっては物足りなかったわ」


「これ以上犠牲者を増やすつもりなら僕は君でも容赦なく撃つ・・・・・!」


そう意志を見せるためレバーをひく。

その姿を見てもなまえはなんだか嬉しそうで



「燐の血を吸えばよかったのかな、」


「・・・・・・!!」


そうぽつりと呟いたなまえの言葉が聞こえた瞬間、雪男は引き金を引いた


バーン、と大きく鳴り響いた発泡音にじわじわと床を真っ赤に染め上げる大量の血。

消え失せる意識の中、見えたのは涙を流した罪悪感いっぱいの雪男の顔

ここで私の時間はぱたりと止まった





(あなたが好き)
(永遠に雪男の中で生き続ける)