「なぁ
さくらんぼの枝口の中で結べるか?」
「?
そんなの分かんないよ」
今日ミラからさくらんぼのお裾分けがあったから食べていればグレイにそう言われた。
「グレイはできるの?」
そう聞けばグレイは得意気な顔をして口の中に放り込み、数秒で枝を結んでみせた。
神業みたいな光景に私は興奮状態。
グレイにできたんだから私にもできるはず。
そう思ったのに。
「ん・・?んん・・
グレイ、これできない・・」
何回口を動かしてみてもグレイみたいに結べない。
はっきり言ってできるのか疑ってしまったぐらいだ。
にやり、と笑うグレイ。
結べなくて悪かったわね、と喋れないから目で訴えればグレイが私の方に近づいてくる。
「さくらんぼの枝結べると、さ。」
「・・・・・?」
次の瞬間グレイはとんでもないことを口にする。
「キスが上手いんだってさ」
一瞬フリーズした私の体。だがすぐに我にかえれば顔を赤に染めた。
まるで最初から分かってたようににやにやと笑うグレイ。
「・・・試してみるか?」
「ばかッ変態!」
確信犯
(まんまと君の罠にはまった)
(照れんなよ、俺上手いぜ)
(照れてない!
てか近づかないで!)
(酷い言われようだな・・)
試すようなキスが初キスなんて嫌に決まってるじゃない。