今日も妖精の尻尾のギルド内は騒がしくいつも通りの光景だと思われた。
そんな中机に突っ伏している少年が1人。
「ちょ、ちょっとグレイってばどうしちゃったのよ!」
「なまえに男ができてフラれたらしーぜ!」
「あら、まぁ。」
そんなナツの発言に食い付くグレイ。
「フラれてねぇ!
ってか、その情報どっから仕入れた!!」
自分がなまえを好きだなんて誰にも言ってないはず。
そもそもからかいのネタにされてることが無性に腹がたつ。
「ルーシィ、ルーシィ〜!」
なにやらどたどたと騒がしく足音が聞こえる。
勢いよく扉が開けばそこにはたった今まで話していた本人の姿が。
いきなりルーシィに突進した。
「聞いてよ!
初デートでいきなりホテルに誘う男ってどう思う!?」
「はぁ!?なにそれ!
その男最悪じゃない!!」
「だよね!?
やっぱ殴って帰ってきて正解だった!」
ガタン!
大きな音がして、隣を見れば椅子が倒れていて。
座っていたはずのグレイが立ち上がっている。
まるでナツみたいな炎が身体中からでているように見えるのは気のせいだろうか?
「おい」
振り向きざまに発された声は低すぎてグレイだと分からないぐらいだった。
これは・・怒ってる。
誰が見ても一目瞭然。
なまえはそんなグレイを見て唖然とし、冷や汗が流れた。
「ぐ・・・、グレイ?」
「その男、今どこだ?」
「え!?
ど、どこって聞いてどうするの!?」
嫌な予感がしてならないなまえ。
そんな予感は的中する。
「どうするって、絞めるに決まってんだろーが!」
「!!」
手をぼきぼき鳴らすグレイが別人のように見えてしまう。
もはや居場所を聞く前にグレイは歩きだしてしまった。
なまえはそんなグレイを止めるべく腕に抱きついた。
「おっ思い止まって!
暴力はだめだよ!!」
「うっせぇ!
一発殴んねぇと気が済まないんだよ!」
もはや何を言っても頭に血が昇ってしまってるようで聞いてくれない。
「ちょっと!
なにをそこまで怒ってるのよ!」
ルーシィが言う。
続けてなまえも言葉を発した。
「そうだよ!
私が殴っておいたんだからいいよ!!」
「よくねぇ!」
さらなるグレイの大声に誰もが驚いた。
そのままグレイは言葉を続ける。
「好きなヤツをそんな風にされて黙ってられるか!」
「・・・、え」
突然の告白
(それは唐突すぎて)
いきなりすぎな展開になにも言葉が出なかった。
だってまさかグレイからそんな言葉がでるなんて。
掴んでいた手は力なくすり抜け、そのまま床に座りこんだ。
(・・なんか言えよ)
(いつから私のこと好きだったの?)
(・・・それは言わねぇ。)
一目惚れ、なんて言えないだろ。