みじかいの | ナノ

ルーシィと買い物に街へとでかけた矢先のこと。
お昼のカフェテラスで


「ねぇ、グレイとはどうなってんの?」


「やだ、ルーシィ
いきなりなに?」


突拍子のない発言になまえは頬を染めながら返事をした。
そんなこと聞かれてもはっきり言って困る・・
グレイは大切な仲間であって家族でもある大切な存在。
ただそれだけなのだ。
にやにや顔のルーシィにそう説明すれば悲しい顔をして"グレイ可哀想"なんて言ってる。


「そんなこと言われてもな―・・・」



ため息を一つ吐いて、サンドイッチを頬張った。


「そもそもグレイが私を好きなんて聞いたことないんですけど。」


「何言ってるのよ!
丸分かりじゃない!!」


この鈍ちん!とか言われたあげくのはてにデコピンまでくらわされる。
だってほんとに分からなかったんだから仕方あるまい。
むしろ嫌われてるんだとばかり思ってた。
ギルドに入った頃はチームくんだりしてなにかと仲が良かったのに、今では言葉すら交わさなくなってしまった。
目があっても視線を逸らされる。
そんな態度のどこに私が好きだと。
分からない。
紅茶にミルクをいれてくるくるとマドラーで掻き混ぜる。
相変わらずルーシィは呆れ顔。
っていうか・・睨んでない?


「ごめんなさい、ルーシィさん
睨まないで!」


いまにも突っかかってきそうだったのでとりあえず謝ってみた。
大きくて長いため息をつかれればなんだか悲しくなった。


「よし!
こうなったらルーシィさんが人肌脱ぎましょう!」


「・・・はぃ?」




―ギルド―


「あら、グレイ
なまえは?」


「知らねー」


素っ気ない返事をするグレイにミラジェーンはくすくすと笑ってみせる。

そんなミラジェーンにグレイは見透かされてるな、なんて思い頬を染めた。


すると後方がなんだか騒がしくなる。



「や、やだ!ルーシィ!
こんな格好で会うなんて無理!!」



声の主は先程まで話していたなまえだった。
騒がしいのが気になるのかちらり、と横目で見れば目を大きく見開き、驚いた。
それもそうだろう。
なまえの格好は超ミニ丈のフリルがいっぱいのワンピースにブーツ。
髪は少しウェーブかかっていて。
化粧もしていてなんだか色っぽかった。
そんななまえにグレイは目を逸らせなかった。


「あ・・グレイ・・・」


グレイと目が合い、顔を真っ赤にさせる。
潤んだ瞳に蒸気した頬。


(おい、おい、反則だろ!)

はぁー、とため息を吐くグレイに焦るなまえ。


顔を手で覆い、表情を見えなくする。
裏ではどう思ってるかなんて知らないんだろうな。

可愛すぎて抱きしめたい、なんて。


「あ、あの・・
グレイ・・?」


声が震えている。
抱きしめていいんだろうか?
その後、感情は押さえきれるのだろうか。


・・・あぁ、もうそんなことどうでもいい。


次の瞬間、グレイはなまえを抱きしめた。


「ぐっ!グレイ・・!?」


「バカヤロー」


「・・・は?」


なんだ、いきなり。
抱きしめた上に馬鹿発言。なにがしたい。
殴ってやろうか、なんて思えばグレイからとんでもない一言。


「・・・・、お前可愛すぎんだよッ」


「な・・・!?」


周りにからかわれてるのにもかかわらずキスされた。

人目を気にしないどころか見せ物にされた気がして、一発殴ってやりました。