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今日みたいな綺麗な満月の夜に彼と出会った。


「では、舞さん
おやすみなさい」

「はい、お母さま
おやすみなさい」

ぱちり、明るい部屋は一瞬で闇へ。
扉が閉まればやけに静か。

「今日も1日家の中・・
つまんない」


ふう、とため息を吐く。
自分は生まれつき体が弱い
他の子がしても平気なことはなにひとつ、私にとってはできないことばかりだった。
一人で外にでたことはないし一度も許されていない。
なぜなら発作がおきて命を落しかねないから。
だから毎日、外で元気よく遊びまわる子供たちを部屋の窓から眺めるのが日課。
ああ、なんて羨ましい。
いいな、私も遊びたい。

外ってどうなってるの?

考えれば考えるほど寝つけないでいた。


「だめだわ、
寝不足なんてしたらお母様に怒られちゃう」


ぽふん、と布団を頭の上まで被り、ゆっくりと瞼を閉じた。
寝かけた頃、ベランダで物音がして目を覚ます。
音の方へと視線を移せば、人影が見えた。


「・・誰?」


「やべ・・っ」


私からすれば大人な、高校生くらいの少年の声。
でも真っ白い衣装を身に纏い、シルクハットにモノクル。
どこからどう見ても高校生では、ない。
そういえば一回だけお母さまから聞かされたことがある。
丁度外見は彼と同じ。
満月の夜と共に現れるキザな怪盗がいると。


「あの・・」


私が声をかければ彼は颯爽とその場から去ろうとした

「・・待って!
行かないで・・っ」


それを見て無意識のうちに声をかけてた。
当然、真っ白い彼は驚いた顔をする


「私と、お話、しませんか・・?」


「へ?」



*少女と怪盗*
(運命のカウントダウンのはじまり)