ちゅってしてダーリン! | ナノ


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「よーし、はじめるか!」

「オー!」


修行をはじめる悟飯。
その姿は普段とは違い、金色の戦士と呼ばれた超サイヤ人の姿。
調整するかのように指をならし、隣にいる弟の悟天の方を見る。
石を投げて反射神経の勘を取り戻すらしい。



「悟天
この線のあたりからにいちゃんにむかって石を投げてくれ」


「うん
分かった」


足で線を引きながらそう指示をする。
だがあまりの近さに悟天は首を傾げて心配するがなんという悟飯の余裕。
無垢な悟天は信じ込み石をおもいっきり投げつけた。

「!!」


石はものすごいスピードで悟飯の目の前に迫ってくる
驚いた。
瞬時に避ければ、顔の横ギリギリを通り後ろの岩に追突すれば派手な音をたてて崩れた。
その光景を呆気にとられ


「ほんとだ
すごーい!
さすがにいちゃんだ!」


なんて呑気に笑ってる。
子供が投げるんだからと考えてたのが甘かったようだ次を投げようとする悟天に慌ててストップをかける。
様子をみつつ、投げさせる距離をのばすことにした。
石投げ再開。
悟天は石を抱きかかえ先ほどと同じように投げ続ける慣れてきたようで調子にのる悟飯。
そんな時悟天がぼそりと呟いた。



「ねぇ、ぼくもにいちゃんみたいになってもいい?」

「え?
にいちゃんみたいって・・なにがだ?」


「そのスーパーサイヤジンっていうやつ。」


その言葉に目を丸くし、笑う。


「はははは!
なってもいいけどそいつは悟天にはまだちょっとムリかな
超サイヤ人っていうのはそうとう修行してだな・・
そんでもって怒りをきっかけにやっと・・」


言葉の途中で軽々と変身して見せた悟天の姿に悟飯はこれでもか、と目を見開いた。
自分や死んだ悟空でさえも相当苦労した超サイヤ人に小さい悟天がなってしまうのだから。
本人に聞けばいつ頃からなれるようになったのかは覚えてないらしい。
悟飯は組み手を要求した。
チチからよく教えてもらったらしくサイヤ人の件も"不良みたいだからもうなっちゃダメ"と怒られてしまったらしい。
悟飯は"ははは・・"と渇いた笑いも漏らした。

そんなこんなで2人は組み手をスタートさせる。
激しい音をたててぶつかりあう2人。
次から次へと攻撃する悟天の技を受けとめる悟飯。
少しピンチらしく放たれた蹴りを避ける際に空へと飛びたった。
そんな悟飯に悟天は不満の声を漏らした。


「ずるいよにいちゃん空飛ぶなんて〜」


「な、なんだおまえ
もしかして空飛べないのか?
超サイヤ人にはなれるのに」


「飛べないよ〜」


「・・順序がでたらめだな
ん?」


ふと視線をずらして見れば見慣れたヘリが。
目にはいったのはMr.SATANの文字。
なんだか嫌な予感がした。
操縦席にはビーデル。
助手席には羚奈の姿

「・・どうやらもう1人空の飛び方を教えなきゃいけないようだ。
でも、なんで羚奈さんまで・・っ」


とりあえず地上に降り立つ
これからのことを悟天に話はじめた。


「いいか、悟天
ここににいちゃんと同じ学校に通ってる女の人が来るけどその人にはあまり強いとこを見せちゃだめだぞ

とくに超サイヤ人には絶対なっちゃいけない」


分かったような分かってないような素振りを見せる悟天。
不良だと思われると勘違いしてるがまぁ、それでいいだろうと思う悟飯だった。
すぐさまものすごいスピードで家へと向かう悟飯と悟天。


「ほんとにデートに誘いにきたわけじゃねえべか!?」


「違うって言ってるでしょ!」


「やめなよ、ビーデル!
そんな言い方失礼だよ」


家に着けばチチとビーデルが言い合ってる声を耳にした。
そんな隣でおろおろしてる羚奈。


「や、やあ」


「あ!」


「孫くん!!」


現れた悟飯に視線を向ける羚奈たち。
少しだけ羚奈の頬が赤く染まった。


「よ、よくここが分かったね」


「名簿をみればカンタンよ
それよりなにさ!
勝手に休学届けだしちゃって!
空を飛ぶの教えてくれる約束でしょ!」


羚奈は喋ってる姿を見て思った。
なんで悟飯はビーデルにへこへこしてんだろうか。
強気なビーデルには羚奈も負けてしまうが。
もっと言いたいこと言えばいいのに。


「羚奈だって心配してたのよ
ちゃんと謝りなさいよね」

そうビーデルが言えば悟飯の視線が羚奈へと向けられた。
目が合えばどきり、と肩が揺れる。

そういや邪魔しにきたのだと思われていなければいいのだが。



「悟飯ちゃん
この娘っ子も武道会でるってほんとだべか?」


かなりビーデルのことを怪しんでいるチチに悟飯は慌てて説明した。
舞空術を教えること、武道会のことはビーデルに教えてもらったこと。

それでもまだ警戒していた

「ふぅん・・
そんならまぁいいだが
おめえ、お礼だとかいって悟飯ちゃんにエッチなことすんじゃねえだぞ!」


「そんなことするわけないでしょ!

いーだ!!」


「ビーデル・・」


一応孫くんのお母さんなのになぁ、と思う羚奈
でもこの気が強いとこ、なんだか似てる気がする。
羚奈はふっと小さく笑った。
でもあの最後の言葉は聞き捨てならない。
まぁビーデルが孫くんに手をだすとはおもわないけど
・・・そんなことになったら許せないかもしれない。

「嫌な子になっちゃったなぁ・・」


「静かに修行したいのに・・」


言い合ってる2人を余所に悟飯と羚奈は小さく呟きながら同時にため息を吐いてる。


これからが騒がしく慌ただしい修行の始まりだった。