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「ねえ羚奈アイス食べにいかない?」
「いく!」
「ダメですよ」
校門をくぐり抜けたとき、背後から見知った声が聞こえた。その声の方に振り向いた。
「羚奈さんは今日は僕とでかける約束があるので」
「なっ・・・!」
なんで孫悟飯がここに?状況が理解できず、口をぱくぱくとしていれば孫悟飯が歩み寄ってくる。
「ぎゃああっ」
どこにそんな力が。なよなよしいのは見た目だけで、腕っぷしには自信があるかのように軽々と私を担いだのだ。
「羚奈さんお借りしますね」
孫悟飯が、にこりと微笑めば親友はどうぞ。と勝手に話を進める。親友に売られた。裏切られた。
「ちょっ、なにすんの!」
「強行突破、です。」
「ふざけんな!大体アンタなによこの体制は!」
「ああ、羚奈さんは昔に比べて随分とお転婆になられたので致し方なく。でもさすがの僕も女性を俵のように担ぐのはどうかと思うので」
「わっ」
今度は腕にすっぽりおさまるように横抱きされる。触られてる部分が熱となって、かっと頬が赤に染まった。
「ただ声をかけたんじゃ逃げられると思ったので。すみません」
「・・・べつに謝ることじゃ」
大豪邸を目の前に孫悟飯とを交互に見やった。
「アンタ・・・何者?」
さあ?と白々しく微笑むだけの孫悟飯を見て頭を抱えた。
(早く帰りたい)