ちゅってしてダーリン! | ナノ


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*羚奈side*

朝、空気を吸いに屋上へ行ったらグレートサイヤマンが悟飯くんになった。

呆然としてる私の横を焦りながら通り過ぎる悟飯くんを横目で追えばなんとも早いスピードで階段を掛け降りて行く。
てっきり、グレートサイヤマンはマッチョのおじさんとばかり想像してたから、細くて、若くて、しかもクラスメイト。
相当にショックを受けてる自分がいた。
いやいや、誰もマッチョのおじさんとは言ってないからあれだけど。
でも・・意外すぎじゃん?
今どき変身なんて、思いもしなかったし。
でも目の前で見てしまったからにはこれが現実なのだろう。

いつまでも突っ立ってるわけにもいかないから教室へ戻ることにした。



教室へ戻れば悟飯くんがいた。
(あたりまえだけど。)
私と目が合えば明らかに目を逸らす。
正体がバレたから気まずいのだろう。
だって顔にでてるんだもん。
あれは嘘がつけないタイプ。絶対。
羚奈はとりあえず自分の席についた。



私の席からは悟飯くんがよく見える。
一番眠たい授業なのに真剣にノートを書いてる悟飯くんの姿におもわず欠伸がでてしまう。
次の瞬間、コツンとチョークがあたり、前を見れば先生が怒ってる姿が目に映った。



「今は授業中です」


「はぁ〜・・い」



先生の言葉にそう言えば、周りから笑い声。
そんな光景に思わず苦笑い
ちらり、と悟飯くんを見れば、案の定マジメだった(笑)



「ビーデルって孫くんのことどう思う?」


体育が始まる前の更衣室で羚奈はビーデルにそう聞けば、すごく驚いた顔をされてしまった。



「・・・なに、急に」


「いや、ね、
どうしたもんかと。」



羚奈からの意外な人物の名前に相当驚いたらしい。
着替える手の動きが止まっているビーデルに対し、羚奈はもくもくと着替えを進める。
何回瞬きしたか分からないくらい目をぱちくりさせてるビーデル。



「そんなに驚かなくても」



異常なまでのオーバーリアクション。
そんなに変なことを言ったのかと焦ってしまうではないか。



「そりゃ驚くわよ!
まさかあんたから悟飯くんの名前がでるなんて・・」

「・・・すみませんね。
名前だして。」


あまりのビーデルの態度にふてくされた。
着替えてグランドへでれば今日はベースボールだった。

聞けば悟飯くんはルールは知ってるみたいだけどやったことがないって言っていて。
それに対してシャプナーが嫌味を言ってるのを耳にする。


「・・・やなヤツ」



羚奈はぼつり、と呟いた。


「あんたライト守りなさいよ
分かる?ライト」


「あ、はい・・」



ビーデルが悟飯にライトを守るよう指示をする。
悟飯は駆け足で自分のポジションへと向かい、構えれば試合開始の合図が聞こえた。
投手はビーデル、バッターはシャプナー。
ビーデルは打たせない、なんて得意気に言いながらボールを投げる。
だが、そのボールはいとも簡単に打たれてしまった。絶対にホームランで、誰にも取れないボールだったのに。
悟飯くんは軽々とジャンプして8メートルある高さのボールを取ってしまったのだ。
その光景に誰もが驚いた。そのまま二塁にランナーがでてたと考えた悟飯くんはボールをキャッチャーへかえす。
ボールは凄まじい勢いでミットの中へ。
みんな唖然としてる中、悟飯くんだけ嬉しそうに



「へへー。
セーフ、セーフ」



なんて呑気に言っている。今日は疲れてるんだ。
だってそうじゃなかったらあんな人間離れした行動できないもの。
悟飯を見ればシャプナーがわざとぶつけようとしたボールを避けずにぶつかっている。
それでも痛がる素振り一つ見せず平然としているではないか。


今日1日見てて思った。
・・・悟飯くんは、人間じゃない。
(いろんな意味で。)