ちゅってしてダーリン! | ナノ


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すぐに試合会場へとむかえば決勝戦はもう終わりがけで。
優勝者であるトランクスという少年とビーデルのパパのミスター・サタンと闘うところだった。


「あれ・・?
悟天くんの試合終わっちゃった・・?」


走ってきたから少々息切れで羚奈は言う。
見ててあげるね、という悟天との約束なのに。
審判の始まりの合図の声に会場中の熱気があがった。

「うぉーし!
さぁ、かかってこーい!」

気合いはいりまくりのミスター・サタン。
トランクスに殴ってみろとばかり顔を差し出している
かなりの余裕だ。

そこにトランクスの拳がふりかかる。
バキィッと派手な音とともにミスター・サタンは会場の外にぶっ飛び、壁に激突した。
そのまま倒れこんだ。
先程とは違って静まる会場熱は冷めて、ひんやりとした空気がながれる。
羚奈は驚いた。
あの世界チャンピオンと言われているミスター・サタンが負けるなんて。


「ビ、ビーデルパパ・・
かっこわる・・・」


もちろん別の場所で見ているビーデルもかなり驚いている。
隣では悟飯がトランクスになにかを訴えたいのか、そんな表情をしていた。

暫く倒れていたサタンはゆっくりと体を起こしはじめる。
そしてお腹をかかえながら歩きだした。


「うわー、や やられたー
強いなーボク〜
おじちゃんの負けだよ〜」

と言い出した。
場外負けだから当然なんだけども。
わざとだと分かれば周りからは笑いの歓声がまきおこる。
そんな観客席に向かってサタンは手をふった。


「・・・
わ・・わからない
・・・あいつが・・・
やっぱ強いのかも・・」

トランクスは呟いた。

この後サタンの控え室ではベッドの上で転がりながら殴られた顔の痛みに耐え


「ひい〜ひい〜
いたいよ〜死んじゃう〜」

世界チャンピオンとは思えないセリフを吐いていたというのは誰も知らない。



またアナウンスが鳴り響き、大人の部の開始まで30分ほどの休憩があるらしい。

「少年の部の試合に間に合わなかった・・
悟天くんになんて言おう」

見れなかったことによる罪悪感に心おしつぶされそうだ。
きりきり痛む胸をおさえてビーデルと悟飯を探そうとただひたすら歩く。

だが更に頭痛が羚奈を襲う。
その場に座り込んだ。


(あ〜・・
なんか前にもこんなことあったなぁ・・・)


前より酷い気がする。
なんだろう。
あの時助けてもらった男の子に会った時から気分が悪くなってきてる。


(そういえばお礼、言いそびれちゃった)


気になることはやまほどある。
あの場所にいなかったはずなのにいつあそこにいたのか。
なぜ羚奈の名前を知っていたのか。
一体何者なんだろう。

ううん、それより

痛い、痛い、
頭が割れるように痛い


「・・羚奈さん!?」


聞きなれた声。
悟飯だ。


「・・・孫く・・」


やっと会えて嬉しかったから、できるかぎり笑ってみせる。
向こうから走ってくるのはまぎれもなく悟飯。
後ろにはビーデルがいた。

「わ〜い・・
やっと、会えたぁ・・」


「なにやってんの!?
ここ、選手しかはいれないはずよ!」


「その選手と間違えられちゃった」


「はぁ!?
馬鹿ね!」


ビーデルと言葉でやり取りしていればいつのまにか悟飯がしゃがんでいて羚奈に目線をあわせている

「あまり顔色が良くないですね・・
歩けますか?」


ごちん、とおでこを自分と羚奈のとをひっつかせた。
かあーって一気に熱が集中する。

これはちょっと恥ずかしい

「え・・と、大丈夫・・」

不思議といつのまにか頭痛は治まっていた。

・・・なんて言うか
彼はすごい。
私が辛い時はきまって傍にいてくれる。


「これから羚奈さんに僕の仲間を紹介しに行きましょう
たぶん食事してるはずですから」


取り敢えずはぐれないように羚奈は2人にしっかりとついていく。



(孫くんの頭の・・前のヘルメットみたいな方が素敵だったのにな)


そう思ったのは伏せておくことにした羚奈だった。