ちゅってしてダーリン! | ナノ


←back
天下一武道会当日。
別に出場するわけでもないのに昨夜はドキドキしすぎて眠れなくて。

そのせいか


「遅刻しちゃうよおおぉおッ!!」


寝坊しちゃいました。

ビーデルと会場で待ち合わせなのに。
かつかつと匕ールをならしながら会場へと急ぐ羚奈。
まぁ、眠れなかった原因は、それだけじゃないのだけれど。
悟飯との出来事を思い出しただけで顔はまっかっかな状態だ。


(私普通にできるよね!?)

そういや仲間を紹介したいって言っていた。
今日はそれも楽しみなのだ
周りから変な目で見られるんではないかと思わせるくらい羚奈の顔は緩みまくっていた。

その頃。
会場では羚奈の予想通りビーデルは待っていて、かなりご立腹だった。


「まったく・・!
なんで羚奈ったら、約束時間守れないの」


もうそろそろいかないとエントリーの受付が締め切られてしまう。
少し考えて、


「まぁ、会場で会えるわよね」


そう勝手に納得し、会場へ入っていった。


やっとのことで着いた羚奈。
ふらふらしながら会場の中に入っていく。


「・・ビーデルがいないのって怒ってることを表しているのかなぁ・・?」


そう思いたくなかったが一瞬だけ背筋に悪寒みたいなものが奔った。


「うぅ・・っ
後でしっかりと謝らなきゃ
えーと、どっち行ったらいいのかな??」


早くも迷子。
広いし、人が多いしでどっちへ行けばいいのか全然分からない。
あわあわしていれば誰かに腕を捕まえられる。


「え?」


「君!
出場する人はこっちだよ!」


「あ、あの、
私違・・っ」


「早くしないと予選始まりますよ!
そんなひらひらした服で来てるってことは着替えるんでしょ
こっちです!」


選手と間違えられてる!?
やばい、やばい、やばい!

「ちょ、
だから私は違いますって」

もう羚奈の言葉は聞こえてないほど相手は急いでいるのか、まったくもって最悪だった。

話きいてよーっ!

当然その心の中の叫び声は聞こえる筈もなく。

関係ないのに無理矢理なんて酷くない!?
てか、ちゃんと仕事してよあのオジサン・・

失礼しました。
だって私から見ればオジサンなんだもん。
オニイサン・・は、ちょっとねぇ??


「これからどうしよー・・」


たぶん捜せばビーデルや孫くんには会える筈なんだけど。
暫くすれば大きなアナウンスが響き渡った。


「お集まりのみなさん
それではただいまより天下一武道会の予選を始めます!」


あぁ・・2人に頑張ってって言おうとしたのに・・
自業自得なんだけども。

そういえば少年の部って予選はないって言ってた。
元来た道をたどって戻ろう
悟天くんの応援に行かなきゃ。

羚奈がそう考えながら立ち止まろうとした時、誰かにぶつかってしまった

「・・きゃっ!」


「おっと」


いかにも人相が悪そうな怖い人が・・・そこにいた。


「いてぇじゃねえか!
腕が折れたかもしれないなあ・・
どうオトシマエつけてくれるんだ?」


「ひっ・・!
ご、ごめ、なさ・・っ」


謝ってしまったけれど

"こんくらいで折れるわけないじゃん!"

羚奈はそう叫びたい気持ちでいっぱいになった

「ほぉ、よく見たら可愛いじゃねえか
俺の女になったら考えてやってもいいぜ」


その言葉を聞いたとたん羚奈の顔が青ざめていく。

無理っ!
無理、無理、無理!!!

泣きたい気持ちを堪えたがもうすでに涙目。
ぎゅうっと堅く目を閉じて、助けを願った。
次の瞬間男のうめき声と、どさっと何かが倒れる音。先程の男が床に俯せで倒れ、気絶していた。


「え・・?
な、なんで?」


訳が分からなく、パニックな羚奈の前に少年か、青年か、歳が分からない大人びた感じのオーラを纏った人がそこにいた。


「大丈夫ですか?」


「・・あ、はっはい」


助けてくれたのはこの人だと、改めて認識した。


「てか、・・宙に浮いてる・・・?」


悟飯たちと同じように浮けるこの子は一体何物なんだろうか?

羚奈がじっと見つめていれば妖しげな笑みでにこりと笑った。


「私はシンです
また会いましょう

・・・羚奈さん」


「え!?
なんで私の名前・・!」


振り向いた時にはもうどこにも姿は見当たらなかった

「う、嘘・・
ミラクル・・」


なんなんだろう。
なんだか嫌な予感がする


・・・それにしても面白い髪型や耳だったな。
とんがってたし、服のセンスもイマイチだ。

どうでもいいとこばかりはしっかりと見ていた羚奈だった。


(今度会ったらあの耳触らせてもらえるのかなあ?)