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私の町には『名探偵』と『怪盗』がいる。



「陽莉ー!
今朝の新聞見たよ!」


朝、教室へはいり自分の席へ向かう途中親友が目の前に新聞を見せてきた。
私、工藤陽莉は少し機嫌が悪い。
なぜならどこもかしこもこの話題でもちきりなのだ。

高校生探偵工藤新一。
自慢の兄なのだが正直言って探偵と言う職業が好きではない。
いつ危ないめにあうか分からないし、ほんとは止めてほしいのだが肝心の本人がまったく聞いちゃくれない

「カッコいいよねー
名探偵工藤新一!
いいなあ、こんな人がお兄さんで!」


「・・そんないいものじゃないよ」


「なに拗ねてんの?」


「・・べつにぃ」


「・・あ!
あんた嫉妬してんの?
有名人になるまでは私だけのお兄ちゃんだったのに、って?」


「〜〜・・・っ」


図星なだけに頬を赤くする
確かに小さい頃はよく懐いていたけど、それは昔の話であって。
今となっては別なのだ。
隣で笑いまくってる友人を横目で睨みながら思う。



父、推理小説家、工藤優作
母、大女優、工藤有希子
兄・・そして名探偵工藤新一

こんな家庭に生まれてきてしまった私はなんて不幸なんだろうか。