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「・・お
おいしい・・!」


「せやろせやろ?
遠慮せんとどんどん食うてくれ!」


満足そうに笑う服部。
あまりの美味しさに陽莉はふわー、と変な声をだし目をきらきらと輝かせてる。


「ね!
お兄ちゃん!」


「・・確かに美味い。」


照れてる。
そんなコナンに陽莉は満足そうに笑った。


「笑うな」

「ごめん ごめんって!きゃー!痛いっ」


ぐしゃぐしゃ。コナンの手により頭を掻き乱され陽莉は声を荒げた。


「酷い!セットしてきたのに!」

「陽莉が悪い。」

「〜・・!やったな・・!」

やり返そうとしたとき。


「店ん中やでお二人さん」


服部の言葉に仕掛けようとしていた動きを止め、振り向いた。


「仲ええのはよろしいんやけどほどほどにな。
あ、もんじゃ追加な」


店員に追加オーダーしている服部を見て、あまりにはしゃいでいた自分が恥ずかしくなった。小学生なら分からなくもない、が自分は中学生。やってしまった・・!


「・・は はしゃぎすぎて・・ごめんなさい」


情けなくてしょぼんとなる。


「まだまだ子供やなあ」


「服部さんってお兄ちゃんみたいなこと言うんですね」


隣で笑いを堪えてる服部を睨んでやれば自然と視線を逸らされた。もんじゃを口へ運ぶ。やっぱり美味しい。・・と、そこで聞こえた携帯の着信音。コナンのだった。


「・・げ!蘭だ!」

「蘭さんから?でたほうがいいんじゃない?後で怖いよ〜」


いかにも楽しんでるように笑って言う陽莉の言葉にぞっとなった。文句言われるのもなんだし、ここはでといたほうがいいだろう。


「わり!外でかけてくる!
あと俺少し寄るとこあっからこのあとは現地集合なっ」


「あ、お兄ちゃっ」


そう発した時にはコナンの姿はなく、残された服部と陽莉。当然、自分勝手な行動に頬を膨らませる。


「そんな顔すんなや!ほれ、デザートオマケやて」


「・・いつもこうなんだもんお兄ちゃんって
工藤新一の時からずっと!今はコナンのくせに!」


変な言葉を並べながらアイスを頬張る。服部は苦笑するのみだった。


(工藤・・お前の妹は訳分からん)


「ありがとうございましたー」


店をでたふたりは目的地へと足を進める。


「次はどこへ行くんですか?」


「内緒や」


「えー、なんですかそれ」


「着いてからのお楽しみや!」


「ずるい!まさかなにか企んで・・!・」


「あー!小うるさい女やな、ちょっとは大人しく黙ってられへんのか!」


「お兄ちゃんに似たんです」


なんて、会話をしながら進んで行く。周りは陽莉が見たことのないものばかりで、好奇心を擽られた。


(あ、これ哀ちゃんに似合いそう!)


手に取ったのは髪留め。綺麗な色合いでとても素敵だったのだけれど。どうみても小学生がつけるようなデザインではないな、とおもい断念する。でもなぜかこの髪留めが自分の中で気にいってしまい購入してしまった。

そして我にかえった。

一緒にいたはずの服部がいない。それもそうだろう。陽莉が立ち止まり、髪留めを手に取り見ていたときから既に服部は前へと足を進めており、いなかったのだから。


「う、嘘・・迷子?」






「陽莉とはぐれただあ!?」


「あ、ああ
せやかてあの姉ちゃんも子供やないんやから1人でここまで来れるやろ?」
(あ、目的地場所姉ちゃんに教えてへんかった)


「ばかやろ・・!
陽莉の得意業は迷子なんだよ!!」


「はあ?!」


(なにか訳分からんこと言いだしよった
コイツ!!)


携帯使えばいいだろ、とか陽莉にこの場所教えてなかったことを、教えてやるべきなんだけれども。コナンの必死な後姿を見ながら、面白いからこのまま黙っていることに決めた無責任な服部だった。









「どうしよう・・」


あれからふたりを捜すため、あちこち歩き回った。だが一向にその人物は見つけられない。携帯に何度か電話をしてみたが連絡がつかない。もう一度、かけてみる。やっぱり留守番で、繋がらない。

ちっ、と舌打ちしたときだった。ぽつ、ぽつ・・と鼻に冷たいものが触れる。


「雨・・?」


そう言葉にした途端激しい雨が降り注いだ。


「きゃー!雨痛いっ冷た・・!」


あまりの土砂降りに雨宿りできそうな場所を探す。なぜか運が悪いことに見当たらない。


(どうしよ・・っ)


どうしようかと、迷っていれば腕を捕まえられてびくってなる。振り向けば見知ったものの姿があった。


「来い!!」

「・・おにいちゃ・・?」


違う。また間違えるとこだった。確か・・黒羽快斗さんだ


「あの・・っなんでここにいるんですか!?」


「あー、ちょっと訳ありでな。お前一人?」

「知り合いがふたり・・。はぐれちゃって」

「なるほどな」


なにかを納得したように笑った。


「どこ行ってるんですか」

「雨宿りできそうなとこ」

「あの・・自分も探しましたがどこにも・・」

「さっき見つけたんだよ」

「え??」

そう言われ、されるがままに連れられてきた陽莉は高そうな感じがする建物の前にいた。
目の前にはホテルの文字。いかにも怪しげなソレは鈍い陽莉でも理解することができた。一気に顔に熱が集中する。


「・・え?」

「ここで一休みすっか
このままだと風邪ひくしな」


ここに・・入るってこと?このひとと一緒に?
雨が止むまで、ここ・・で・・


私っ 中学生いいいっ!!!