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「へっくし!」


「もぉ!
ほらお兄ちゃんこっち向いて!」


風邪っぴきのコナンの鼻をティッシュでふいてやる。
そんな姿に哀はため息ひとつ零した。


「・・ねえ、あなたたち
つい昨日まで喧嘩してなかったかしら?」


哀の言葉に2人は目を丸くさせる。
まったくその通りだ。
だがコナンも怒ってることもなく、至って普通。
普段と変わらなく接してしまっている。


「・・はあ、
頭痛いから休むわ」


「!
哀ちゃん大丈夫!?」


「大丈夫よ」


そう言って哀は奥の部屋へと入っていった。
しーんと静まりかえる部屋
博士もでかけてしまっているため、コナンと陽莉2人きりになってしまった。


「・・お茶いれる?」


「いや」


「・・じゃあ「なにもいらねえから座ってろよ」」


席をたとうとした陽莉の腕をひき、それを阻止する。
おずおずとソファーへ腰を沈めた。
ギシッとスプリング音は静かな部屋には妙に響く。
この静けさに耐えきれなくなり陽莉はテレビのスイッチをおした。
面白い番組なんかひとつもなくて。


「つまんない」


「陽莉」


「おにい、ちゃ、」


じっと見つめてくるコナンを不思議に思い口を開いた
だが


「ちょ、お兄ちゃん
どいてどいて!」


コナンをおもいっきり押し退けてやればどすん!と派手な音をたててソファーから転げおちた。


「な・・っ
てめ、陽莉!」


「うわ〜、この番組昔好きだったやつだ!
懐かしい〜!」


すっかりドラマに夢中である。
なんかむっとなった。
机にあったチャンネルを拾いわざと番組を変えてやれば陽莉は「あ――っ!」と大声をあげた。


「ちょ!お兄ちゃん!
勝手にチャンネル変えないで!」


「どーせ、こんなん再放送だろ」


「こんなんとか言わないで!」


また始まった喧嘩。
だが止める者は誰ひとりいない。
エスカレートしそうになりかけたところ、玄関の呼び鈴がなる。
お互い動くことはなかった


「・・でなくていいのかよ」


「お兄ちゃんがでれば?」

つんつんした陽莉の声色にコナンはツン8デレ2の割合で陽莉はできてるな、と思った。
次第に聞こえてきたドアが開く音と誰かの足音。
陽莉たちがいる部屋の扉が勢い良く開いた。


「よお!工藤!
元気しとったかー?」


「服部!?」


いきなり現れた服部。


「不法侵入・・」


陽莉はぼつりとそう言い放った。


「鍵開いとったで?
不用心なやっちゃなー」


「あっ・・!
博士ったら私たちがいるからって鍵かげずにでかけちゃったんだ!」


少し口を尖らせた陽莉が言う。
服部の視線は陽莉へとうつった。


「あんたが工藤の妹かいな?」


「え?
・・あ、はい」


「ほー
えっらい似てへんのな」


「ほっといてください!」
「ほっとけ!」


見事コナンと陽莉の声がハモったことにより服部は腹を抱えて笑う。


「ぶはっ・・」


「なにがおかしいんですか」


「・・っくく・・!」


「お兄ちゃん
なにこの人」


変な人を見るかの視線でコナンに訴えた。
コナンは頭をかかえて、ため息ついてる。


「こいつは、」
「俺は西の高校生探偵の服部平次や!
姉ちゃんも聞いたことあるやろ?」


「・・西・・?」


陽莉は考える素振りを見せる、が、


「聞いたことないです
すみません
私お兄ちゃんっ子なんで
他の人が同じ高校生探偵やってようが興味ないです」


「・・工藤

この姉ちゃんの頭どついてええか?」


陽莉の言葉に拳を握る。


「ふざけんな
そんなことしたら地獄におとすぞ、服部」


可愛い顔して言うことは腹黒い工藤兄妹。
黒いコナンの笑みに服部は身の危険を感じ、拳をしまった。


「ところで服部お前
なにしに来たんだよ」


「せやせや!
工藤、明日から暇か?」


「は?
・・まあ、暇と言えば暇だけどよ」


にっと口角をあげて笑う



「大阪観光、しに来ぃへんか?」


「「・・・は?」」


またコナンと陽莉の言葉は綺麗に揃った。
服部のこの笑顔の裏にはなにかある、コナンはそう確信した。


「大阪観光!
素敵ですね・・!」


「陽莉!?」


目を輝かせて言う陽莉。
なんだか嫌な予感。


「ほな、決定や!
いろんなとこ案内したる!」


「やったね!
お兄ちゃん!


・・?お兄ちゃん?」


「もう勝手にしてくれ」