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003


「なにい!?
飛行船に乗るだあ?」


「そ。」


「おまっ
朝はそんなこと一言も・・!」


「言ってないわよ
学校で誘われたんだもの」

菜々は困惑してる快斗の目の前であっけらかんと答えてみせた。


「おまえ俺が仕事で行くんだってこと忘れてないよな?」


「もちろん
忘れてるわけじゃないし、邪魔するつもりもない
私は私で楽しませてもらうから。」


菜々をじっと見つめる快斗。


「名探偵・・とか?」


「・・だったら?」


いきなり立ち上がり菜々の肩を掴む。
椅子が派手な音をたててひっくり返った。


「アイツには気をつけろよ?」


「な・・なによ?」


あまりに真剣すぎてたじろいでしまう。
いつもの快斗とは違い、戸惑ってしまった。


「アイツは危険だ!
危ない!
だから行動する時は「アンタは私の母さんか。」」


激しくムカついたから頬を摘む。
あまりの痛みにひいひい言ってる快斗の姿。
やっぱりスルーなわけで。コーヒーでも淹れようとポットに水をいれ、沸かす。


「コーヒー淹れるなら俺にも!」


「・・・ちっ」


菜々の軽い舌打ちは先程の頬を摘まれたことよりも痛かった。
(学校でもあんな態度だったら快斗くん心配だわー)


「・・学校でもこんなだけどなにか?」


「え!?嘘!?
また分かった??」


またまた心を読まれてしまった。
この前といい、今といい、まったくもって佐原菜々という人物は恐ろしい。


「どうぞ」


「サンキュー」


淹れたてのコーヒーを口にしようとする。
その瞬間菜々が腹黒い笑みを浮かべたことは気がつかない。


「ごふっ!」


なんともいえない味が口内をおそい、口に含んでたコーヒーを吹き出した。


「な、なんつー味・・!」

「きゃはははははっ」


腹を抱えて笑う菜々に快斗はピンときた。


「・・菜々
なに入れた?」


「塩を大さじ3杯」


「飲めるか!
そんなモン!」


菜々はまだ笑いの余韻をひいているせいか涙目
さすがの快斗もここまでやられれば限界なわけで。


「・・・ッ
そこに正座しろ!」


「べ――!」


ひたすら部屋の中でおいかけっこ。
こうして夜はふけて、先に快斗がダウンした。



さすがの快斗さんも小学生の元気さには叶わないってことで。


 


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