dc | ナノ

002


少し早く学校に着きすぎてしまった。
だから誰にも会うことなんかないと思ってたのに。


「よお」


「・・?」


平然とした顔つきで首を傾げる。
なにかを思いだしたように軽く両手の平をあわせた


「ああ、確か・・
・・・・・江戸川」


「確かってなんだよ」
(コイツ完全に忘れてやがったな)


「だって興味ないし」


「このやろ・・っ!
灰原以上に可愛くねえ・・!」


歩きながらそう言う菜々のあまりの態度に自然とそんな言葉が口からもれた。
隣に哀が居ることも知らずに。


「私がなにかしら?」


「あ・・灰原」


当然本人を目の前にコナンは目を丸くする。


「今日はなんの用?」


相変わらず態度も声も冷めた感じ。


「別に俺が用事あるわけじゃねえけどさ、」


「は?
じゃあなに?
用事もないくせにわざわざこんな早く来て人のこと待ってたわけ?
ストーカー止めてよ!」


「・・くす、」


バン!と机を叩きながらコナンを睨み付ける。
あまりにも菜々のストレートな言葉に哀の口から笑いが零れた。


「まだ話の途中だ!」


「じゃあさっさとお願い
本読みたいの」


(・・くそ
えれー態度でかいな、コイツ)
「レディースカイ知ってるだろ?」


「・・ええ」
(快斗の言ってたやつか)


「それが知り合いから本物が見れるらしいんだけど」

「興味ない」


「歩美がどうしても佐原と行きたいんだってよ」


「・・・私にメリットは?」


ほんとああ言えばこう言う
なんでこんな雪女を誘わなきゃいけないんだ。


「飛行船乗れるみたいだぞ?」


「・・!
飛行船・・?」


本に向けてた視線をゆっくりとコナンの方へ向けた
さっきより真面目な顔になった。
・・ちょっと面白い。


「まあ、無理にとは言わねえよ
歩美ちゃんには俺から言っとくから」


「・・っ!
待って!!」


コナンの腕の服を思いきり掴んだ。
なんなんだ、と菜々に視線をやる。


「行く・・わ、」


「は?」


「行くって言ってるの!
悪い!?」


「へーへー」


この偉い態度はなおらないものか。頼むのはそっちだろう。
気の強い顔しながら真っ赤
ほんの少し可愛いと思ってしまった。




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