探偵 | ナノ


「・・私、快斗が好きなんだ。」


授業が終わり、人気がなくなった教室で中森さんにそう言われた。


「なんで私、なの?」


「だって宇理、快斗と仲いいから心配だったの。」


淋しそうに笑う彼女に多少苛立ちを覚えた。

だからなに?

そんなこと、あなたに関係ないじゃない。だけど彼女には決して言ってはいけない。私も快斗に恋をしてることを。


「なんでもないならいいの
引き止めちゃってごめんね!」


えへへ、と笑ってみせる。小走りで去っていく彼女の後ろ姿を眺めて、ため息をはいた。快斗への想いともう1つ、知られてはいけないことがある。それは、快斗と体の関係をもっているということ。彼にとってsexは遊び程度。なぜ私なのかは怖くて聞けてない。それでも彼が好きだから、必死でこの関係を保とうとする。愛されたsexなんて期待しちゃいけない。鬼畜なプレイだってなんだって彼に絶対服従。気持ちを伝えられないまま、真逆の順番なこの関係。夕方、誰もいなくなった教室で私たちは淫らな行為を・・する。
静かな教室に響く喘ぎ声に床が軋む音。私の一番弱い部分を彼はよく知っている。そこだけをピンポイントで刺激されればすぐに鳴いてしまうことも。
考えるたびに、彼の熱が鮮明に思い出される。机に腰掛け、足をぶらつかせて窓から外を眺めた。オレンジ色の夕焼けが視界にはいる。しばらく眺めていればもう少しで約束の時間。ガラリ、と扉が開けばそこには待ち望んでいた彼の姿。走り寄って、私はキスをした。


「お前からキスなんてめずらしいな。」



「・・・はやく、抱いて。」


あんな言葉を聞いたからだろうか。今まで思わなかった罪悪感。快斗は口角を吊り上げ妖しい笑みをこぼした。


「いいぜ。
すぐに良くしてやるよ。」


耳元で囁き、唇を重ねる。影で映った2人のシルエットは快斗が押し倒す形で消えた。

罪悪感いっぱいの私の心。
そして彼は、また私をめちゃくちゃにする。