探偵 | ナノ


「王様ゲームやらない?」


それは園子のこんな一言から始まった。同じクラスの園子、蘭、新一、私。後はたまたまこっちに遊びにきてた平次と和葉の計6人でやることになった。


「よーし!じゃあどんどんひいちゃって!!」


なんだかはりきりまくってる園子が棒をさしだし、みんなに引くよう指示をだす。


「おっしゃ!」


気合いをいれて引く平次に順番が次だった私はその姿に笑ってしまった。


「服部くん気合いはいってるねー」


「なんなん、平次
最初は王様ゲームなんか、とかってしぶっとったクセに
気持ちわるいなぁ。」


「うっさいわ。」


(宇理に命令できるかもしれないんや。)


和葉ちゃんのきっつい一言にめげない服部くんはすごいと思う。
うんうん、頷きながら宇理は自分の引く棒を選ぶ。



「みんな選んだ?」



蘭が全員棒を持ったか確認するため声をかける。


「じゃあいくよー
せぇの!!」


掛け声とともに園子の手から一斉に棒がひかれた。王様の棒には宇理が描いた王冠のマークが。みんなごくりとのみこんだ。


「誰が王様ー?」


残念ながらはずれた宇理が他のメンバーに声をかける。


「やったぁ!王様!!」


声をあげたのはなんと蘭だった。


「あんた運強いわね」


「えぇなー、蘭ちゃん。」


「えへへ!
じゃあー・・5番と2番が抱き合う!!」


みんな自分の番号を確認する。しばらくすると、男子2人の叫び声が響きわたった。


「・・蘭、てめぇ〜」


「・・・ふざけんなや」


顔を青ざめる2人から棒をもらって見てみれば見事に蘭が指摘した数字が。蘭はあはは、と苦笑した。仕方なく従う2人だったが深いダメージを受けたのは言うまでもない。



(くっそー!宇理とこうなるはずだったのに)


(なにが悲しゅうて男同士で抱きあわなあかんのや)


「じゃあ、もう1度仕切りなおしね!!」


再び引きなおす6人。
今度こそ宇理と、なんて思いながら引く人もいるが。


「よっしゃ!
あたしが王様や!!」


次に王様を引き当てたのは和葉だった。


「せやな〜・・
ほな、1番と3番があっついキスをかわす!」



「あ、1番は俺だ。」



「え!?新一!?」


なぜか一斉に平次の方を見る。


「・・・言っとくけど俺やないで
いくらゲームでも男とキスすんのはごめんや。」


そう言って自分の番号を見せる。


「あ、番号違う・・」


「ほな、誰なん?」


「じゃあー・・後は、」


蘭、和葉、園子が順番に声をあげた。ちらり、と隣にいる宇理の方へと視線を向ければぷるぷると体を震わせる姿があった。


「・・宇理?
まさか・・・」


園子の声に小さく頷く。


「私・・、です」


恥ずかしさのあまり顔をあげれないまま自分が3番だということを告白する。


「きゃ――っ!
まさか新一くんと宇理がキス!?」


「ちょ、園子!!」


案の定、こうゆうことが大好きな園子がくらいついてきた。


「和葉―――っ!!
おまえ、なんちゅう命令をだすんや!!」


「えぇやん!!
王様はあたしなんやから!!」


言い合う2人をよそに新一が近づいてくる。



「・・ぇ、あ、の
まさかほんとに?」


「王様の命令、は絶対なんだろ?」


「で、も
こうゆうのは人前でするものじゃないし・・
ましてやゲーム・・・」


「宇理は俺のこと嫌い?」


いつのまにか背に壁が。
身動きがとれず新一に迫られる。


「きらい、とかそういう問題じゃ・・・」


新一から背けていた顔を戻されれば嫌でも新一の顔が瞳に映る。


「俺は、好きだ
宇理のこと。」



(そんな真面目な顔で告白されても!

大体、順番ってものが・・・っ)



いろんなことを考えていれば、腕をひっぱられ新一の方へと倒れこんだ。



「・・・だめだ

宇理のこんな可愛い顔、他のやつに見せたくねぇ。」


「か、かわっ!?」


新一の腕の中におさまりながらストレートすぎる言葉に真っ赤になる。なんだか新一じゃないみたい。



「・・やっぱ、限界だ、」



「え・・・っ」



新一の声とともに、自分の唇に温かいぬくもりが。



「・・しん、い、ちっ
んぅ・・・っ」



長い、長い、激しいキス。名残惜しそうに離れた唇からは銀色の糸が。


「・・・はぁっ
結局キス、するんだ。」



「だって俺、宇理好きだし」



「・・ふっ!
どんな理由よ」



「やっぱ宇理は笑った顔が可愛いいと思うぜ」


笑顔を見せる新一に

"新一の方が可愛いよ"なんて言ったらあなたはどうするんだろう?



「・・宇理の返事は?」



そうね・・2人きりになれたら、その時に伝えるわ。


"あなたが大好き"