June 07
※名前固定注意!
ずっと夢みてた。
あなたの一番になること。
彼と初めて会ったのは、中学3年の終わり頃だった。私が変な男の2人組に絡まれていた所を助けてもらったのがキッカケ。
オレンジの髪がよく目立つそれが最初の彼の印象。
お礼も言えないままだったから彼が忘れられなくて。同じ高校で、同じクラス、隣の席だって分かった時は運命じゃないかって思った彼はうろ覚えみたいで私を見た時、思いだすのに時間がかかったみたい。
「・・・黒崎くん、て意外と酷いんだね?」
この時に初めて彼の名前を呼んだ。
「悪ぃ・・。」
バツがわるそうに素直に謝る彼が可愛くてなんだか意地悪してやりたくなった。
「もーらいっ!」
「・・あ!
おいっ」
彼のポケットから携帯を奪い蓋を開けてカチカチといじる。
焦ってる姿にもっと苛めてみたくなってしまう。
・・・だけどあんまり意地悪するのは可哀想だから許してあげますか。
私はそう思い、先程彼から奪い取った携帯を素直に渡した。
べぇ、と舌をだしながら彼に言う。
「忘れてた仕返し!」
彼は呆れた顔で笑ってたと思えば急に真面目な顔になる。
「・・・撫子。」
聞いたことのない一段と低く囁かれた彼の言葉。
名前で呼ばれたことよりも"大人"な彼の声に、表情に、悔しくも反応する。
耳に一気に熱が集中するのが分かり、どこもまっかっか。
「な、に」
発した声は、彼自身の唇によって塞がれてしまう。
そんな彼の行動にさっきの声よりも驚いた。
「・・・、思いだすのに時間がかかったヤツの言うセリフじゃねぇと思う、けどさ」
彼は続けて言葉を紡ぐ。
「撫子が好きだ。」
そしてもう一度キスをする嬉しさで溢れだした涙は頬を伝い、唇へと流れる。
涙の味がした。
ゆっくりと唇は離れ、一護は頬を染めながら呟く。
「なぁ、もう一回・・
してもいいか?」
一護の問いかけにこくん、と首を縦に振ればまた唇に一護の感触。
3回めのキスは甘く、幸せだった。