●レイヴン→ジュディス←ユーリ
「おっさん、若いもんには負けないよ」
「あっそ。オレも、おっさんに譲る気はねえよ」
「老い先短い年寄りにひどくない?」
「なに言ってんだ。殺しても死なないくせして」
「ジュディスちゃん置いて逝けないもんね。俺様が死んじゃったらジュディスちゃん泣いちゃうでしょ」
「心配すんな、そんときはオレが慰めるし。ジュディはオレが幸せにすっから」
「……ちょっと、いい加減諦めてくんない、青年」
「おっさんこそ」
●フレン←ジュディス←ユーリ
ぐつぐつと煮立つ鍋をかき混ぜるオレの隣では、トントンと小気味いい音を立てて野菜を切るジュディス。
こうやって並んで料理なんかしてると、なんだか新婚みたいだ、とか柄にもないこと思ったりして。
ああ、にやけるのを止められない。
「フレンは魚とお肉どっちが好きかしら?」
ジュディスがオレに視線を向ける。
それは嬉しいが、質問の内容がおもしろくない。
確かにオレの方がフレンの好き嫌いわかってるし、仲間内でも料理を担当することが多いジュディスが把握しとくべきことだということもわかる。
でも、そんなに楽しそうに聞いてこなくてもいいじゃないか。
まるで初めて恋人にふるまうかのような。
●ジュディス総受
※いろいろひどい!
「おりょ、青年たち何見てんのー?」
「わ!レイヴンさん!?な、なんでもないですよ!」
「えー、なんでもないってこたないでしょうよ。おっさんだけ仲間はずれなんて酷いわよ」
「ジュディ見てたんだよ」
「はい?」
「だから、オレらはジュディ見てたの」
「そりゃまた……なんで」
「いや、好きなヤツ見るのに理由なんてねーよ」
「うわっ無駄にかっこいいわよ青年!でも一歩間違ったらストーカーになりそう!」
「失礼だな。おっさんじゃあるまいし」
「それこそ失礼だよね?おっさんはちゃんと常識の範囲内でのセクハラだからね?」
「レイヴンさん……セクハラに常識もなにもないですよ」
「……よーしおっさんもジュディスちゃん見ようっと」
「なんだよ勝手に見んなよ」
「なによー。青年の許可とらなきゃなんないわけ?」
「ジュディの可愛いとこ一晩中語れねえと見る資格はねえ」
「ちなみに僕たちは三日三晩徹夜してまで語れます」
「お前さんたち、そんなことしてたの?お、おっさんだって語れるよ!むしろ一週間だって語ってみせるよ!」
「あんたら、そろそろ黙ってくんない」
―――――
なんか、ごめんなさい
●フレン→ジュディス←ユーリ
胸が熱い。
今まで生きてきた中で感じたことのない熱さ。
病気や、傷を負った時に生まれる熱など比べ物にならないくらい、ひどく熱い。
初めての感覚に戸惑う。
だが初めてだからこそ、この熱さの正体がすぐにわかった。
僕は彼女に恋をしている。
胸に走る締め付けられるような痛みが心地よくて。
ふわりと漂う彼女の触手を視界からはずせない。
これが恋でなく、なんだというんだ。
ユーリにそう言うと、彼はニヤリと笑った。
「じゃあ、どっちが先にジュディを落とすか勝負だな」