●ヒスイ×リチア
ゼロム憑依兵の成れの果てや、結晶界の街で白化した結晶人をたくさん見た。
リチアもいつかああなるのだろうか。
させてなるものかと思いながらも、もし防げなかったらと考えてしまう。
想像するだけで身体もスピリアも震える。
それこそ白化してしまうのではないかと思うくらい、なにか底から吸い上げられる感じ。
これ以上の恐怖を彼女はあの小さな背中に抱えているのだ。
守ってやりたいと心から思う。
「ヒスイや皆のスピリアを守るためなら、私は頑張れるのですよ」
それはこっちのセリフだ。
●ヒスイ→リチア
冗談じゃない。
結晶人とかいうやつらのせいで俺たちの人生めちゃくちゃだ。
奴らが勝手に争っていただけだってのに、何で俺たちを巻き込むんだ。
ふざけんな。
特にあのリチアとかいう女にクリードとかいうバカ。
あいつらのせいで母さんは死んだし、コハクもシングだって死にそうな目にあったんだ。
一発殴るくらいじゃこの怒りは収まりそうにねぇ。
あぁもう顔も見たくないくらいだ。
だったってのに。
なんでお前はそんなに決意に満ちた目をしてるんだ。
そんな目見ちまったら、認めてやらねえわけにはいかねえじゃねーか。
●ヒスイ×リチア
わたくしの目の前に広がる背中は、とても優しくて、必ず守ってくれる。
そんな価値がわたくしなんかにあるのかはわからないけれど。
彼が守ってくれているというのがどうしようもなく嬉しい。
これが愛というものなのかしら。
それならばわたくしはなんとしてでも彼を守ろうとするのでしょう。
●ヒスイ→リチア
何を悲しむことがあるだろうか。
平和が訪れたのだから、ただ喜べばいい。
彼女が安心して眠っていられるように、この平和を守り続けるのだ。
泣いている場合ではない。必要もない。
彼女はそんなの望まないし、自分とて望まない。
彼女が愛したこの世界を、ただ守ればいい。
●ヒスイ→←リチア
俺の目の前にはたくさんの料理。
それをどんどん胃袋に収めるリチアを見て、呆れか感心かよくわからないため息を吐いた。
「……よく食うな」
「ヒスイは大食いな女はお嫌いですか?」
「いや、別に……嫌いじゃ、ねーよ」
ハッキリそんなことないと言えない自分が情けない。
しかしリチアは嬉しそうに「よかったですわ」と笑うもんだから。
少しは俺にも希望があるのかもしれない。
●ヒスイ×リチア
指に絡まるエメラルドの髪は、決して軽くはない。
それでも柔らかく感じるのは、事実そうなのか。それとも彼女の染まった頬からくる自分の高陽がそう感じさせるのか。
どちらにせよ、勢いで作ってしまったこの状況をどうすればいいのか。
俺の心臓は壊れそうなくらい騒いでいる。
(このまま頭を引き寄せて、その潤った唇を奪ってしまおうか)