●馨×ハルヒ


「ねぇ馨、心配した?」

僕の顔を見た途端、そう笑ったお前はもしかして小悪魔?
心配しないわけないのわかってるくせに。

「当たり前だろ」

その言葉だけでそんなに嬉しそうな顔をするなら、いくらだって言ってやるよ。
だって僕はお前がすべてなんだから。

……なんて言うと嘘になるな。
僕のすべてはハルヒと光のものだから。






●馨←ハルヒ


わかってる。
馨が自分だけを見てくれないことくらい。
馨には光がいるし、ホスト部の部員やお客さんだっている。
馨が大切にしなきゃいけないものは自分だけじゃない。
でも、少しでも他の皆より特別に扱ってほしいって思うのは、自分の我が儘なのかな。






●馨←ハルヒ


似たような、でも全然違う背中二つが自分の前を歩く。
もちろん自分はどっちがどっちか見分けはつく。
それをれんげちゃんに話したら、後ろ姿でも見分けがつくなんてすごいと言われた。
そうなのかな?
だってあんなにわかりやすいじゃない。
ほら、こっちが馨で、こっち光。

きっとハルヒ君はどちらかを好きだからわかるんですわ!

ああ、れんげちゃん。
そんなんじゃないよ。
馨じゃない方が光。
ただそれだけなんだから。

(決して馨を想っているとか、そんなんじゃないんだよ)






●馨×ハルヒ


ほんと、ずるい。
ちゅっ、とおでこの方から聞こえる音に、自分ばかりがドキドキして。
離れたら顔はほら、こんなに憎たらしい。

「アハハ、真っ赤だ」

まったく、人をからかうことしか考えてないのかな。
こんなんじゃ、かっこうの的だ。

でも、それすらも嬉しい。
自分に構ってくれる時の馨は、とても綺麗で。






●馨←ハルヒ


「だからさ、みんなのとこにいきなよ。僕なら平気だからさ」

どこが平気なんだろう。
そんな切ない顔をして。
放っておけるわけがないのに。
馨を一人にしたくないのに。

「ハルヒは、なんだかんだ言って優しいから」

違うよ。これはエゴなんだ。
ただ自分が馨の側にいて、馨を支えて、自分がいなきゃだめなようにしたいだなんて考えてる。
他の誰よりも、自分をまず見て、感じて。






●馨×ハルヒ


ね、今何してる?

月見てるよ。
今日、皆既月食らしいから。

あはは、僕も僕も。
雨降ってるからどうかと思ったけど、たまに晴れるね。

うん。よかった。

すごいね。一緒にいるわけじゃないのに、同じ空見てる。

空は繋がってる?

ありきたりだけどネ。

ううん、素敵だね。
こうして電話しながら、馨と一緒に月を見上げてる。

うん。
……………あ。

あ。

始まった。

ふふ。始まったね。

……僕、感激しちゃった。

自分も。
一緒に声があがって、なんか嬉しかった。

綺麗だね。

綺麗だね。






●馨←ハルヒ


光のことを大切に想っている馨のことが好きなんだと思う。
自分が人を好きになるなんて考えたこともなかったけど、相手が馨となれば、なんともしっくりくるもんだ。
同じ顔、同じ言動、それでもごく当然のように馨に惹かれた。
いつでも一歩引いて、光を支えようとする馨の姿が、自分の目を引く。
自分のことより光のことを第一に考えてる馨を、自分が支えたいと思う。
一緒にいるときの、ホッとする感じは、馨じゃないと出せない。
馨の一番になりたいとは望まない。望めない。
ただただ彼の頭の片隅にでも、自分の存在が入り込めたら、これ以上の幸せなんてないんじゃないだろうか。





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