鬼神新選



●新八+浪人


ゆらり、とその影は動いた。
その緩慢な動きは見る者の視線を釘付ける。
ゆっくりゆっくりとこちらに近づいてくるソレは、ニャッと口角を上げていた。
口の端についた赤いものをじっとりと舐めあげる。
その仕草に色を感じるなど、自分はどこかおかしいのだろうか。

「どうした?かかってこいよ」

その言葉に反応できずにいると、ズプリとソレの得物が腹を貫いた。

あぁ、“鬼”の声というのはこんなにも美しかったのか。
自分の肉が裂ける音というのはこんなにも甘美だったのか。






●新八+隊士


今日は非番だったので、永倉先生の奢りで島原に繰り出した。
酒を満足に飲んだのは久しぶりで、皆帰る頃には上機嫌に出来上がっていた。
そして屯所への道を歩いていたとき……

「新撰組、覚悟ーーー!!」

俺たち新撰組は常に不逞浪士に狙われる立場であって、いつ何時でも気が抜けないことに改めて気づかされる。

「くっ……!」

俺はいきなりの襲撃に驚き、相手の剣を受けるのに精一杯だ。
永倉先生はこれくらい平気で返り討ちにしているんだろうと思い、ちらりと見てみると、意外にも戸惑いを見せていてらしくない反応だった。
先生の背後から敵が斬りかかる。

「永倉先生、危ない!!」

俺は必死に刀を振った。
先生を狙っていた浪士の体が血まみれになって倒れる。

「オメェに助けられるなんたぁ、俺もまだまだだな。でもま、ありがとよ」

永倉先生は人懐っこい笑みを浮かべ、

「さてと、さっさと済ましちまうぞ!」

と、敵に斬りかかっていった。
俺はまさか先生から礼を言われるとは思ってもいなかったので、嬉しくて嬉しくて。
胸がいっぱいになりながらも敵を斬っていった。

少しでも永倉先生に認められた喜びを感じた夜……



―――――
過去拍手御礼文






●新八×篝炎


「へぇ……」
「……何」
「いや、お前甘いもん好きなのか?」
「……別に普通」
「ふぅん……」
「……何よ」
「普通のわりには幸せそうな顔すんだな〜と思ってさ」
「!」
「好きなんだろ?」
「……そんなに顔に出てた?」
「いんや。全く」
「?……じゃあ何でわかるの」
「う〜ん……やっぱお前のことずっと見てるからじゃねぇ?」
「……………」
「顔に赤いぜ」
「……うるさい」



―――――
過去拍手御礼文






●新八&篝炎


失ったと思ったものが、甦ってしまった。
それも自分の望むものとは真逆の方法で。
どうすればいいのかわからない。
平静を装ってもそれは所詮演技でしかない。
心は煩いほどに暴れる。

「貴方は任務を遂行すればいい」

あくまで淡々としたコイツの言葉が耳に心地よいのは何故だろう。



それは思考の逃げ道


―――――
過去拍手御礼文






●新八←篝炎


「沈丁花には『不死』とか『不滅』『栄光』って意味があるんだとよ」

まるであいつらにぴったりな花だな、と彼は笑った。
再びこの世に現れた彼ら。
それは過去の栄光を取り戻さんとしているようで。
成る程ぴったりだと思って頷くと、彼はにゃっと笑う。
その笑顔を見て切なくなったのは何故なのだろう。





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