●馨×ハルヒ
ビーーー
ハルヒが口をつけた葉から音が鳴る。
上品な音とは決して言えないけれど、どこか懐かしい、落ち着く音だった。
初めて聴くのに、こんな風に思うなんて変かなとは思うけど、確かにそう感じたんだ。
「すごいねー。初めて聴いた。なんつーの、草笛だっけ?」
「うん。吹いてみる?」
ハルヒから葉っぱを受け取って、このままじゃ間接キスじゃんとかぼんやり考えて、見様見真似で口をあてた。
うまく鳴らなかった。
●馨&ハルヒ
あれ、なんでそんなに買うの?
そんな金あんの?
……バカにすんなそれくらいのお金あるよ。
それにこうやってまとめて買ったほうが結果的に安くなるんだよ。
へ〜ホントだ。
さすが庶民だね〜
……それしか言えないわけ?
●馨×ハルヒ
ちゅっちゅっ
軽く触れ合う二つの唇。
馨は休むことなくキスをおくる。
「ほら、僕の愛、全部受け取ってよ」
ちゅっちゅっ
「じゃあ、自分からの愛も、全部受け取ってよね」
●馨×ハルヒ
少しずつ、少しずつ貯まっていって。取り出すこともできないから、増える一方。
限界なんてないんじゃないかってくらい。
なんか貯金箱みたいだね。ほら、取り出し口がないやつ。
でも入りきらなくなっちゃって。
そうしたらどうすればいいんだろう?
「じゃあ貯金箱を割って、中を出せばいいんじゃない?」
なら僕のこの『嫉妬』っていう気持ちはハルヒ、全部お前に払うことになっちゃうよ?
それでもいいなら僕は遠慮なくこの箱を割るけれど。
●馨×ハルヒ
おかしい。
今日は日曜日なのに、連絡がひとつもない。
いつもなら朝早くから電話がなって、こちらの都合もお構いなしにつれ回すくせに。
今日はどうしたんだろう?
いや別に、こないならこないでいいんだけど。
そう、別に寂しい、なんて思ってないし。
そんなこと考えてると、いつのまにか夕方になってて。
やっと携帯が震える。
『ね、僕に逢えなくて寂しかった?』
悔しいけど、彼の思うツボ。
「馨こそ、自分に逢わないなんて、よく耐えれたね」
●馨←ハルヒ+光
いつもバッチリきめてる馨の髪を
「わっ、ハルヒ!?何すんの!」
「あ、ごめん。なんか触りたくなって」
「もー。ぐしゃぐしゃじゃん」
「あっれー。馨なんだその頭!」
「ハルヒにやられたー」
いつも何もかもお揃いの二人
でも今は頭がボサボサなのが馨
それをしたのは自分
なんか、やってやったってカンジ
●馨×ハルヒ
ハルヒの方から抱きついてくるなんて普通はありえないこと。
でもそれなら今のこの状態をどう説明しようか。
とりあえず僕のこの手をどうしよう?
ハルヒの背中にまわすべきなのかな?
ありえないことで頭が混乱してる。
夢を見てるんじゃないかと思って頬をつねってみたけど、ただ痛いだけ。
正直かなり動揺してるんだ。
「えっと、ハルヒ?どうしたの」
「馨のことを好きって思ったら、こうせずにはいられなかったんだ」
よく見るとハルヒの耳が真っ赤に染まっている。
嬉しくて嬉しくて、僕はハルヒをぎゅっと抱き締めた。
●馨×ハルヒ
今度家に来なよ。
お父さんとお母さんに紹介したいからさ。
え?それはいいけど、もう会ってるじゃない。
うん、でも“恋人のハルヒ”はまだ紹介してないでしょ?
………そ、うだね。
あれ、ハルヒ真っ赤だよ。
う、うるさいな!
……じゃあさ、馨。
馨のこともお父さんに紹介させてよ。
もちろん。
“恋人の馨”として挨拶にいくよ。
●馨×ハルヒ
なぁハルヒ!
髪弄らせてよ♪
いいけど……
短い自分の髪なんて弄りがいなくてつまんないんじゃない?
そんなことないよ!
ハルヒの髪、サラサラで僕好きだよ
それに好きな子の髪に触れるだけで楽しいもんさ
……あ、そう
あれ、ハルヒ照れた?
●馨×ハルヒ
「あ〜……緊張する」
「あれ、珍しいね。ハルヒが緊張なんて」
「人を何だと……。今回の試験はちょっと自信ないんだ」
「……な、ハルヒ。こっち向いて」
「?なに?」
「ハルヒ、好きだよ。好き好き好き」
「ちょっと、いきなり何!?」
「好き。僕はハルヒが大好き。好きなんだ」
「わかった、わかったから!やめてよ、力抜ける」
「あ、抜けた?良かったじゃん」
「……………」