●劉輝→絳攸


「余は秀麗が好きだが静蘭も好きだ」
「知ってます」
「妬けるか?」
「はい?」
「だが安心しろ!一番はそなただぞ、絳攸!」
「寝言は仕事を終わらせてから言ってくださいこの阿呆」

するべきことさえしたら、寝てようが起きてようが聞いてあげますよ。






●劉輝→絳攸


ふわりと柑橘系の香が漂った。
仕事におわれて疲れ切った頭が冴えてくる。
見ると絳攸が蜜柑を剥きおわるところだった。

「主上、休憩にしましょう」
「おお、蜜柑か!」

絳攸に差し出された蜜柑を、劉輝は嬉しそうに口に入れた。
ほどよい甘味が広がり、頬が弛む。

「やはり絳攸が剥いてくれた蜜柑は絶品なのだ!」
「俺が剥いたことは関係ないでしょうが……」

呆れたようにため息をつく絳攸に、劉輝はわかってないというように笑った。






●劉輝×絳攸


じっと見つめてくる視線がどうにも気になって、ついに絳攸は筆を置いた。

「主上、いったいなんなんです?さっきから」

睨まれてもなお視線を送り続けているのは、国の主である劉輝。
勿論のこと、仕事が捗っている様子はない。
むしろそれをするくらいなら絳攸を見つめるというくらいだ。

「………絳攸」
「なんですか?」
「そなたは本当に美しいな。思わず見惚れてしまう」
「……………」

あまりにもうっとりとした目で見つめられ、絳攸は恥ずかしさで俯いてしまった。
劉輝はゆるりと絳攸に近付き、顎をつかんで顔をあげさせる。

「恥じらう顔も可愛いな」
「……趣味悪いぞ、あんた」
「いいのだ。絳攸は誰よりも可愛いのだ」

最後の方は囁きながら、劉輝は絳攸の頬に唇を落とした。






●劉輝×絳攸


こ こ は ど こ だ っ !?

絳攸は見覚えのない場所にいた。
明らかに迷子になっているが、もちろん彼自身は認めない。

「絳攸!余に逢いに来てくれたのか?吏部の仕事はもういいのか?」
「主上!?」

よくよく見渡すとここは後宮ではないか。
いったいどこをどう歩いたら気づかずにここに着くのか。
それはもう一種の才能に違いなかった。

「いや、俺は吏部に帰ろうと……」
「余のために仕事を切り上げたのだな?余は嬉しいぞ絳攸ー!」

ぎゅうぎゅうと抱き締められ逃げられない。
こうして本日吏部侍郎はお持ち帰りされてしまったのである。






●劉輝×絳攸


主上!起きなさい主上!

……………

主上!

……………

いい加減にしないと俺も吏部に戻るぞ

……余は二人の時は名前で呼べと言ったはずだ

〜〜〜っ劉輝!

うむ!おはよう絳攸!






●劉輝→絳攸


「何故顔をそらすのだ?」
「何でって……主上が近づけてくるからでしょう。むしろ何でこんなに近いんですか」

劉輝はムッと眉根をよせた。

「そんなの、絳攸にくちづけたいからに決まってる」





×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -