●ギルバート&リディア
「リディア……なの?えっと、また随分綺麗になったもんだね」
「ありがとう。貴方は変わらないわね」
「ハハ、こっちでは君と別れてからあまり経っていないからね。……相変わらずのいくじなしさ」
「そうじゃなくて、瞳。優しい瞳が変わっていなくて安心したわ」
「それなら君も変わらない。あの頃と同じ瞳の輝きを失っていないね。僕の大好きなリディアのままだ」
「ギルバート……」
●ギルバート&リディア
「リディアは、強いね」
ギルバートはリディアの頭を優しく撫でる。
ふわふわと柔らかい彼女の髪はとても心地よかった。
でも、アンナとは違う
(ああ、こんなことを考えてしまう僕は、やっぱり弱い……)
●ギルバート&リディア
なんとなくぼーっと月を見上げる。
まわりにはたくさんのお星さま。
「眠れないのかい?」
「あ……」
ギルお兄ちゃんは隣に座って、私と同じように空を見上げた。
「うん。ギルお兄ちゃんも?」
「僕は火の番だから。君がいないからセシルに任せて探しに来たんだよ」
「あ、ごめんなさい」
「いいさ。眠れないなら子守歌でも?」
「いいの?」
「もちろん」
僕にはこれくらいしかできないからね、と言ってギルお兄ちゃんは竪琴を鳴らした。
そんなことないよ、と言おうと思ったのに、私の意識は簡単におちていく。
このあと私をテントまで運んでくれるのはギルお兄ちゃんなんだろうなと思いながら。
―――――
ただリディに「ギルお兄ちゃん」と呼ばせたかっただけ
●ギルバート→リディア
臆病な僕は強い君に相応しくないから。
彼と仲良く話している姿に嫌悪を憶える資格なんてないんだ。
君には逞しい男が必要で、僕なんかじゃ到底守ってあげることはできないさ。
どうか彼と幸せに。
君への愛では負けない自信はあるけれど、それだけではダメなんだ。
●ギルバート&リディア
弦を弾くと軽やかに音が鳴る。
その瞬間に君は目を細める。
こんな僕でも、辛い過去を持つ君を笑顔にできると知った。
人の役にたてるということに気づいた。
「あたし、ギルお兄ちゃんの歌、すごく好きよ!」
その笑顔のためならば、いくらでも歌ってあげるよ。
癒しと安らぎよ、君に届け
―――――
過去拍手御礼文
●ギルバート&リディア
夕焼けを眺めながら聴くギルお兄ちゃんの音楽は、胸をきゅうっと締め付けた。
辛いでも嬉しいでもなくて。
これが“切ない”って気持ちなのかな。