●エッジ→リディア←セシル
「お、あの姉ちゃん、なかなか色っぽいな〜」
「おい、あの子可愛くね?」
「お前もあれくらいとは言わんでも、もうちっと大人の魅力ってのを身につけたら最高の女になんのになー」
「ふぅん。そうかな?」
道行く女性を誉めて、リディアを比べたりしてみる。
それなのに彼女はたいした反応を示さない。
嫉妬もしないし怒りもしない。
それより今日はセシルと買い出しに行くんだった。もう行くね。
リディアはそう言ってエッジから離れた。
「……………誰だよ買い出し当番決めたヤツ」
わかりきってはいるがそう呟いたエッジの肩に、ぽんと手が置かれた。
振り返ると嫌味なほど爽やかな笑顔を浮かべるセシル。
「いやぁ、まったく相手にされてなかったね。
じゃあ僕はリディアと楽しくデートしてくるから、留守番よろしく」
「うるせーってめーーー!ずっこいんだよ!」
●エッジ→リディア+カイン
二人を見つめるリディアの背中が切なくて、その背中に手を伸ばした。
「やめておけ。リディアを困らせるだけだ」
無関心なようで、一番彼女のことを気に掛けているといった風にカインは言った。
その態度にムッとして、かまわずリディアを後ろから抱き締める。
「……エッジ?どうしたの?」
その顔には困った笑みが張りついていた。
●エッジ×リディア
ほらよ、とエッジは採ってきたたくさんの果物をリディアの目の前に置いた。
「わぁ、たくさん!さすがだね、エッジすごい!」
「ふっ、まぁな。当然だぜ」
手放しで喜ぶリディアに、照れているのに平然を装うとしてできていないエッジ。
「今日はデザートあるから採りに行かなくていいって言ったんだけど……」
ローザが苦笑いで呟く。
ただリディアに誉められたい一心で働く王子サマの健気な姿に、一同ほろりと涙を誘われた。
●エッジ→リディア
可愛いじゃねーかこのやろー
今すぐ抱き締めて、髪に指を絡ませて、薄く染まるその頬や、ふっくらと色付く唇に触れて……
この衝動に任せてしまいたくなる。
でもそれができるほど俺は子どもじゃないし、むしろ理性のきく大人だったりするわけで。
自分が大人だという事実を突き付けられた気がした。
●エッジ→リディア→セシル
私、セシルやカインを恨んでなんかないわ
本当よ
んなわけあるかよ
そんなん綺麗事だぜ
心のどっかで恨んでんだよ、おめーだって
それでも、綺麗事いってないとやってけないよ
私たちは共に戦う仲間だから
それに私はセシルに想いをよせてしまったから
人を好きになったのに、そんな悲しい顔してんじゃねーよ……
慰めたくなるだろ
……エッジなんかお断わりだよ
……言ってろ
そのうちオレに縋りつけずにはいられなくなんぜ
●エッジ×リディア
いつも意地悪ばかり言うその口が、今では引き締まっていて。
どこか緊張しているように見える。
エッジは私の肩を優しくも強引に掴んだ。痛くはない。
ただ私には彼が何をしたいのかがわからなくて、戸惑うばかり。
だんだんとエッジの顔が近づいてきて。
それは重なった。
●エッジ→リディア+セシル
「あ、セシル待って!」
「セシル、どうしたの?」
「セシル〜!」
むかむかむか
リディアがオレ以外の男の名を呼ぶたびに、胸ン中で嫉妬に狂う心が暴れる。
セシル相手だと特に。
今は違うというけれど、間違いなくリディアの初恋はヤツだったわけで。
どうしようもないことだけど悔しいもんは悔しい。
なによりあのヤロー。
リディアに呼ばれるたびオレを勝ち誇ったように見てきやがる!
お前は娘を悪い虫から守る父親か!
てゆーかオレは悪い虫じゃないから娘さんとの交際を認めてくださいお義父さん!
●エッジ×リディア
犯罪だ
上目遣いで真っすぐ見つめてくるなんて
しかも無意識ときたもんだ
なんなんだよもう
なんでコイツはこんなに可愛いわけ?
そんでオレをどうしたいわけ?
ちくしょー!
オレこれから一生コイツにゃ適わねぇよ!
●エッジ×リディア
「ほれ」
「え?なに?」
人混みの中を必死に歩くリディアに、エッジは手を差し出した。
リディアはきょとんとエッジを見る。
「このままだとおめー、間違いなくはぐれるからな」
「そ、そんなことないもん!」
「いーや、あるね。だから手貸せ」
半ば無理矢理握られた手が熱い。
照れくさい、でも嬉しくて。
リディアの頬は自然と弛んだ。
(よっしゃー!リディアと手繋げたぜー!)
●エッジ→リディア→
リディアがふわりと笑った
でもそれはオレに向けてじゃない
オレが向けられたことのないその笑顔
アイツは何度見てきたんだろう
何でオレには向けてくれないんだ
なんて、答えはわかりきっていて
苦しくなった