「きゃっ」
ごうっと一際強い風が吹いた。
それに乗せられ、散っていた桜の花びらたちがふわりと舞う。
「はは、髪にいっぱいついちゃったな」
「先輩だって」
笑いながら、お互いの髪についた花びらを取り合った。
「亜子ちゃんは、桜が似合うね」
そうにこりと笑う先輩こそ、桜が似合って綺麗。
「……そろそろ行くよ」
「……………」
「さよなら、亜子ちゃん」
「……卒業、おめでとうございます。さようなら」
桜の中、去っていく姿すら綺麗だなんて、この穏やかな気候のせいかしら。
2012/2/10
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