「……ガイラルディア様」

いつしかそれが合図になった。
なんの脈絡もなく、真っ直ぐ俺に顔を向けて、でも揺れる瞳は過去を見ている。
どうしようもなく心が寂しくなった時、彼女は俺を本名で呼ぶ。

「なんだい、メシュティアリカ」

だから俺も彼女を本名で呼ぶんだ。
寂しさに押し潰されて死んでしまわないように。
“君”を知る人間がまだいるのだと伝えるために。







2011/10/20
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -