彼の後ろ姿をみていると、どうしても我慢できなかった。
「最後の戦いの準備がこんなに悲しいものだったなんてね。意外だったよ」
「奇遇だな。僕もそう思っていた」
涙を堪える。それでも溢れてくるのは止められない。
仮面をはずした彼の表情は苦しそうで、自分と同じなのだと察した。
「僕がいなくても未来はすすむ」
「アンタがいないと未来なんてつまらない」
「バカが。僕はお前の未来を守るために戦うんだ」
「頼んでない」
「僕のことは忘れるさ」
「それが一番嫌なんだよ」
たとえ未来がすすむとしても、貴方を想う私がいないなんて。
「離れることよりも、存在が消えるのが一番悲しいよ……」
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