歌が聞こえる
優しい優しい子守唄
カチャリと音が鳴って
歌が途切れた

『お休みになられましたか』
『ええ』

まだ成長途中であろう若者と
凛とした美しい少女の声
カタリと音がして
誰かの手で頭を撫でられた

『おやすみなさい、ガイラルディア』
『良い夢を、ガイラルディア様』

声が聞こえ
眠りに落ちた







歌が聞こえる
さっきと同じ子守唄
誰が歌っているのか知りたくて
目を開けて首を横に向ける

「ティア……」
「あら、起こしちゃったかしら?」

歌を止めて微笑む彼女
嬉しいけれど
もったいないと思った

「さっきの子守唄、ヴァンに教わったのかい?」
「ええ。兄さんが毎日歌ってくれていたの。貴方も?」
「俺は姉上が」
「そう」

俺も彼女も
懐かしそうに目を細めた

「歌、もっと聴きたいな」

彼女は少し驚き
頬を染めてはにかんだ

「じゃあ、少しだけ」

歌が始まる
聞き惚れているうちに瞼が重くなる
まだ起きていたいのに
それは叶いそうもない

「寝てもいいわよ」

優しい声
お言葉に甘えることにする
彼女の手が頭に

「おやすみなさい、ガイ」

声が聞こえ
歌は止まない



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