歌が聞こえる
優しい優しい子守唄
カチャリと音が鳴って
歌が途切れた
『お休みになられましたか』
『ええ』
まだ成長途中であろう若者と
凛とした美しい少女の声
カタリと音がして
誰かの手で頭を撫でられた
『おやすみなさい、ガイラルディア』
『良い夢を、ガイラルディア様』
声が聞こえ
眠りに落ちた
*
歌が聞こえる
さっきと同じ子守唄
誰が歌っているのか知りたくて
目を開けて首を横に向ける
「ティア……」
「あら、起こしちゃったかしら?」
歌を止めて微笑む彼女
嬉しいけれど
もったいないと思った
「さっきの子守唄、ヴァンに教わったのかい?」
「ええ。兄さんが毎日歌ってくれていたの。貴方も?」
「俺は姉上が」
「そう」
俺も彼女も
懐かしそうに目を細めた
「歌、もっと聴きたいな」
彼女は少し驚き
頬を染めてはにかんだ
「じゃあ、少しだけ」
歌が始まる
聞き惚れているうちに瞼が重くなる
まだ起きていたいのに
それは叶いそうもない
「寝てもいいわよ」
優しい声
お言葉に甘えることにする
彼女の手が頭に
「おやすみなさい、ガイ」
声が聞こえ
歌は止まない
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