夢を見ました。
カイルさんたちならきっと笑い話ですむだろうけど、
私にとってはしゃれにならない話で。
「あーあぁ。今日は肌がのらないわねぇ」
窓の外を見ると、雨。
スカーレルは面白くなさそうにため息を吐いた。
「あ、あの、スカーレル……」
いつのまにいたのか。
振り返るとアティの姿。
「あらセンセ。おはよ♪」
いつものように笑って挨拶。
相手も返してくれると思ったら、予想に反して彼女は深刻そうな顔をしている。
「どうしたの?」
尋ねると、アティはスカーレルをじっと見つめて口を開いた。
「スカーレルって、その、ま、まさか女性なんですか!?」
「……………はっ!?」
思わずずっこけそうになるのを踏みとどまる。
冗談を言っているのかと思ったが、彼女はいたって真剣そのもの。
スカーレルは頭が痛くなってきた。
「あのねぇ、センセ。アタシを今まで女だと思ってたの?」
もうどれくらい一緒にいると思ってるのよ、とスカーレルは呆れた。
「い、いえ!でも女口調だし、そういえば肌とかいつも気にしてるし……」
「まぁオカマキャラだしねぇ」
自分で言うのも変か、と思いつつ苦笑う。
「アタシは正真正銘の男よ。でもセンセ、どうしていきなり?」
そう問うと、アティはピタリと止まり、アハハと照れ笑った。
「その〜、スカーレルが実は女性だという夢を見まして……」
「それで、まさかと思ったの?」
「〜〜〜っはい……」
自分でもバカだと思ったのか、アティの顔は真っ赤だ。
「バカねぇ、アティ」
しょうがない子。
そんな感じでスカーレルは笑う。
「だって……スカーレルが女性だと困るんです」
「あら、どうして?」
「……私はスカーレルが好きだから」
こんな朝っぱらから面と向かって告白されるとは思わなくて。
彼女の顔は火を吹きそうだけど、きっと自分もそうかわらない。
だが動揺を見せるのは自分らしくない。
スカーレルはアティを優しく抱き寄せ、
「本当、バカな子……」
嬉しそうに笑った。
2007/07/17