コン、と窓に何かがあたった。
何かしら、と思っただけでナタリアは特に気にせず、読んでいた本に目を戻す。
するともう一度コン、となる。
不思議に思いナタリアは窓を開け外の様子をうかがった。
そこには夜の闇にも紛れない、鮮やかな赤。
「よ。出てこいよ、ナタリア」
声をひそめてルークが言う。
ナタリアは頷き、ティアとアニスを起こさないように、静かに部屋を出た。
「どうしましたの?」
「ちょっと付き合ってくんね?見せたいモンがあるんだ」
ルークがそんなことを言うのは珍しいので驚いたナタリアだが、旅をしているかぎりは二人きりになれる機会などそうそうない。
「喜んで」
そう返すと、本当に嬉しそうにルークについていった。
2007/04/30
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