「イオスって、いつもムスッてしてるね」
趣味が人間観察らしい少女にそう言われたイオスは、ただでさえ真ん中に寄っている眉をさらに寄せた。
「皆といて楽しくない?」
「……僕はもともと敵だったんだぞ」
「何か関係あるの?」
「……打ち解けるのは、なかなか難しいということだ」
そっか、そう簡単になじめるものじゃないのね、と少女は考え込む。
「……もしルウがキミの立場だったら、やっぱり打ち解けるのは難しいんだろうなって思うよ。でも、キミにはルウがいるじゃない」
どくん、と心臓が鳴った。
きっと自分が思っているような意味ではない。そう言い聞かせて落ち着かせる。
「ルウが、キミと皆の架け橋になってあげる。マグナもきっとそう思ってるよ」
少女は無邪気に笑う。
その笑顔を見ると、胸の奥が熱くなるのは何故だろう。
「ロッカやリューグとかはまだ無理でも、フォルテやミニスたちから仲良くなればいいわ。なし崩しにでいいんだから、ね」
ほら、まずはムスッてしないとこから!
そう笑う彼女につられて、イオスも頬をゆるませた。
とにかく、ルウには不用意な発言をさせないように、少しずつ教えていこうと思った。
2007/06/28
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