なんとなく、だけれど。
彼女の手を握ってみた。
彼女は驚き、しかしすぐに微笑む。
それが嬉しくて、もう少し力を込めた。

温かい……


「イオスの手って、冷たいのね」

嫌だったろうかと思い、力をゆるめた。

「……僕は体温が低いからな」

努めて冷静に言う。
彼女の言動ひとつひとつで一喜一憂していると悟られたくなかったから。

「手が冷たい人って心があったかいのよ」

本に書いてあったもの。
そう言って彼女は僕の指に自分のそれを絡めた。

「キミはあまり表情が変わらないから冷たいって思われがちだけど、本当は優しいんだって、ルウは知ってるよ」

にっこり笑う彼女。

低いはずの僕の体温が、急激に高くなっていくのを感じた。







2007/05/19
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