何がきっかけだったろう。
ああ、そうだ。
きっと、いつも表情を崩さない彼女が柔らかく笑ったときだった気がする。
なんとなく信用できなかった彼女が、急に近く感じた瞬間。
それが俺の心にきっかけを与えてしまったんだ。

それは、徹夜で作り上げた音機関のスイッチを入れ、無事動きだしたときの感動に似ている。
そう。彼女の笑顔が俺のスイッチを押したんだ。

ただ音機関とは違って、一度押したら止まらない。
止めることなどできはしない。彼女にしか。

スイッチが入ったことで、気持ちがどんどん膨らんでいる。
どこまでいくのか。
そのうち、弾けてしまうんじゃないかと時々恐くなる。

なあ、ティア。
だから俺を止めてくれよ。
どうせ叶わないのなら、君の手でスイッチを切り替えて……







2007/06/26
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