コロコロとクロエの足元に小さな飴玉が転がる。

「お、すまんクッちゃん。取ってくれ」

可愛い飴玉とは正反対のモーゼスが言った。

「シャンドルのか?」

飴玉を取ったクロエは、まさかモーゼスのものとは思わず、いささか驚いた。

「おう、さっき嬢ちゃんに貰ったんじゃ。今から食おうと思うてな」

ああ、なるほど、シャーリィが。
そういえば自分も先程貰ったな、とクロエは納得した。
すぐに渡そうと思ったが、なんだかそれではおもしろくない。
クロエは飴玉を軽く放り、落ちてきたところを左手で取ったように見えるよう、右手で取る。

「どっちの手にある?」

モーゼスのような単純な人間はひっかかるだろうと思った。
しかしモーゼスはいつものようにクカカと笑う。

「ワイ、動態視力はええんじゃ。そんな子供だましにひっかかるかい」

そう得意そうに言って、モーゼスはクロエの右手をさした。

「………あたりだ」

クロエは悔しそうに右手を開いた。
だがこのままでは終われない。
モーゼスに見えないよう後ろを向いて、ポケットから自分の飴玉を取り出す。それらを両の手に一個ずつ握った。

「さぁ、どっちだと思う?」

しかしモーゼスはやはり笑って「両方じゃな」と答えた。

「……何でわかるんだ?」
「さっきクッちゃんも飴玉貰っちょったじゃろ?それに後ろ向いてゴソゴソしとったら何か小細工しましたと言っとるようなもんじゃろが」
「ぅ………」

この男はこんなにも頭の回る人物だったろうか。
私の思うシャンドルの人間像を改めなくてはな、とクロエは思い、やはり悔しいので「最後だ!」と言ってまた後ろを向いた。
そして自分の飴玉を口に含み、モーゼスの飴玉をポケットに入れた。

「さぁ、どっちだ!?」

多少喋りにくいのを悟られないようにする。
モーゼスは少し悩み、クロエはやっと満足そうな顔をした。
だがすぐにモーゼスはニヤリと笑う。

「クッちゃん、ワイはな、鼻もようきくんじゃ」

甘い匂いのもとはここじゃな。
そう言ってモーゼスはクロエに口づけた。







(オマケ)
セ「モーゼスーーーーー!!」(激怒)
シャ「殺っちゃえ、お兄ちゃん!!」
ジェ「………やれやれ」







―――――
実は周りに皆いました(笑)
うちのセネシャリ兄妹はクロエちゃん大好きです。
悪い虫(モーゼス)を駆除するため、毎日頑張ってます。


2007/06/16
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