ウダウダしていても仕方がない。そんなことはわかっているが、どうにも何をする気にもなれず――することもなく、ぐーたらと日々を過ごすばかりだ。

(これじゃ、前と一緒じゃねぇか……情けねぇ……)

変わるのではなかったのか、自分は。
いろんなことを考える。
考えて考えて、考えるだけで答えが見つかることはない。
エネルギーの無駄遣いだとも思うが、やめようと思ってやめれるものではない。
こんな時にガイがいたら、自分の気がすむまで気分転換につきあってくれるだろう。
またナタリアならば「情けない!」と自分を叱ってくれるのだろう。
どちらにせよ、居心地の悪いこの世界に刺激を与えてくれるに違いないのだ。

「……あいたいな」

ガイはグランコクマに帰ったし、ナタリアは公務で忙しいとわかっているけれど。

「誰にですか?」
「!?」

自分しかいないはずの部屋で思わぬ言葉が返ってきたことに驚き、ルークはベッドに横たえていた体を飛び起こした。
扉の前には、いつからいたのかナタリアの姿。

「今来たんです。ノックしたのですが、返事がないんですもの」

で、誰にあいたいんです?
ナタリアは笑顔で問う。
自分のこととわかっているのか、それとも嫉妬しているのか。
後者だといいな、とルークは思いながら、ナタリアにあいたかったと伝えるのは気恥ずかしくて話をそらした。

「お前、忙しかったんじゃねーの?」
「公務が一段落つきましたの。あなたがどうしてるか様子を見にきてみれば……まったく、情けないですわね」
「……うるせー」

憎まれ口を叩きあっても、やっと刺激のある時間を過ごせると思うとワクワクした。

「ぐーたらするくらいなら、私の仕事を手伝ってくださいませ」
「どうせ邪魔しちまうだけだからヤダ」
「まったく……」

ナタリアは腰に手をあて、呆れたようにため息をつく。
だがすぐににっこりと笑いかけた。

「ではせめて、私の休息に付き合ってくださいな」

それはしばらく一緒に時を過ごそうとのお誘いで。
ルークは喜んで承諾した。







2007/06/23
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