障気が蓄積される体。
このままパッセージリングを起動させ続けたら、彼女の体は侵され、当然のように朽ちていくのだろうか。
死にいたるほどにはならなくとも、一生つきあっていくことになるのだろう。
死と隣り合わせの生活。
戦いの中に身を置く覚悟とはまた違う。
自分ですらこんなにも不安なのだ。
当事者である彼女の不安ははかりしれない。
かわれるもんならかわってやりたい。
しかし、そんなことできるわけがないのだ。

「……ごめんな」
「え?」

不意に出た言葉に彼女は驚いた様を見せた。
そのあどけない表情が微笑ましくて、だが同時に切なくなる。

「君以外はどうでもいい。だからこんな世界なんかのために犠牲になるな。ヴァンなんかほっとけ」
「ガイ……?」
「なんて、そんなこと言えないんだ。君に役目を放棄させてやることは、どうしてもできない」

こんなにも君を大切に思っているけれど、そのためだけに世界を放るなど許されるわけがない。
自分もたいがい冷たいやつだ、とガイは息を吐いた。
そんな彼に一歩だけ近づいて、ティアは微笑む。

「気にしないで。私があなたの立場でも、そう言うしかないもの。それにいくらガイに言われたからって、私はすべきことから逃げることなど決してしないわ」

彼女がそう答えるのを、ガイはわかっていたのかもしれない。
スッと目を細め、頭をガシガシとかいた。

「……無茶はしないでくれ。でも無理はしてくれ」
「ええ、ありがとう」

彼女は泣きそうな顔で笑んだ。







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今回はこんな風に書きましたが、実際のガイ様は大切な人以外はどうでもいいのかな〜とも思います。

2009/06/13
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