「バカ。強がんなよ。寂しくなったら素直に言えって」
そう言って優しく抱き締めてくれたあなたは、今そばにいない。
「リッド……寂しいよ」
ぽつりと溢してみても、ほら、ぬくもりは来ない。
世界が分かれてしまった今、私の声は彼には届かない。
寂しい、寂しいよリッド。
繰り返し唱える。
「なんだよ。俺がいないうちに、ずいぶん素直になったな?」
ふわりと背に感じるぬくもりと同時に、悪戯っぽい聞き慣れた声。
この感覚、何度願ったことか。
「リッド……」
「やっと会えた」
「ん……」
泣くなよ。
そんなこと言われても無理。
「メルディ、リッドと話したいこと、いっぱいあるよ」
「俺も。メルディに会うためにどんだけ頑張ったか、教えてやる」
「キールも喜ぶな」
「どうだか。てか今出す名前じゃねえだろ」
「ヤキモチか?」
「離れてからずっと、な」
「メルディが気持ちは、リッド行きだけだよー」
「知ってる」
ささやかな言い合いが楽しくて、笑った。
「家、行こ。お話しような」
「ああ。寂しい思いをさせた分、ずっと抱き締めててやるからな」
「それはメルディがセリフよー」
2012/2/21
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