呼び掛けても返事がないものだから。
そっと顔を覗きこむ。
いつもぱっちりと見開いている目は閉ざされていて。
読んでいたであろう本は開いたまま膝の上。
日がちょうど彼女の位置に差していた。
眠ってしまっても仕方がない。
急ぐ用事があったわけでもないから、起こす必要はないだろう。

彼女の隣に腰をおろす。
こくりこくりと舟を漕ぐ様がおかしくて、でもそれでは寝づらいに違いない。
彼女の頭を自分の肩に乗せる。
日のぬくもりと彼女のぬくもりが重なって、暑いくらい。
でも、とても心地よい。

戦い漬けの毎日だ。
たまにはこんな些細な幸せに浸ったってバチはあたらないだろう。







2011/11/25
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