私たちを助けてくれたあの人たちを、私の兄さんが。
「この中で一番泣きたい気持ちなのは誰なんだろうな」
ドアの向こうから微かに聞こえた声は、きっと私と同じくらい泣きたいはずの彼。
いいえ、違うわね。
彼の言うとおり、私が一番泣きたい気持ちのはずで、それを認めると立ち止まってしまいそうで、だから彼と哀しみを分けあうことで、なんとか自分を保とうとしているだけ。
「一緒に泣くか?」
気づけばガイが隣にいて、その瞳は苦しそうに微笑んでいる。
ああ、彼も私と同じだったのだ。
哀しくて苦しくて、この溢れそうな感情をどうすればいいかわからない。
みんなの前ではただ平然とすることで、裏で私と分かち合うことで、制御しようとしているのだ。
私の目からは涙が溢れ、彼の目からは溢れないけれど、感情は私たち二人の回りを渦巻いていた。
2011/11/6
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