最近のリディアは、前より明るくなった。
火を克服したというのが一番かもしれないが、僕たちに心を開いてくれているのかと嬉しくなる。
それでも時折寂しそうな表情をするもんだから、何かしてあげたくて、でも僕には歌ってあげることしかできない。
「ギルおにいちゃんは、本当にお歌が上手ね。おにいちゃんに会って、あたしは初めて音楽って凄いんだって思ったよ。あたしも音楽で人を元気づけられたらいいのに」
「……リディア、おいで」
近くにきたリディアを抱き締め、僕の胸に耳をあてさせた。
「聞こえるかい?」
「うん。落ち着く音がする。凄いね、おにいちゃんは心臓までも奏でてしまうのね」
リディアはいつも僕の音楽を誉めてくれる。
そのおかげでどれだけ救われたか。
だから今度は僕が君に教えてあげる。
「リディアの心臓も、きっと優しい音楽を奏でているんだよ。だから、人を元気づけたいと思ったら、聞かせてあげるといい」
そうすればきっと、誰だって元気になるよ。
今の君みたいにね。
2012/4/16
×