気がつくと、視界には真っ青な空。
直前までの記憶がすっぽり無いもんだから、今自分がどのような状態かもわからない。
「目、覚めまして?」
ほどなく降ってきたのは、まだ少女が抜けきっていない、聞き慣れた声。
「倒れるほどの頭痛なんて珍しいですわね。心配しましたのよ。お加減はいかが?」
「え……ああ……どうってことねぇ」
ナタリアの安心したような笑顔が、青空を遮った。
彼女に膝枕をされているのだと、今やっと認識する。
「しばらくこのままでいましょう。急に動いたら毒ですわ」
そう言ってナタリアはルークの頭を撫でた。
優しい手のひらが温かい。
いつもならはね除けるところだが、今はどうしてもこのぬくもりから抜け出す気になれなかった。
2012/3/19
×