幸せだ、と思った。
この決して派手でない、プラチナの指輪が左の薬指を通った瞬間。
きっとそんな時間は一生の内、この一瞬だけ。
涙が溢れそうになって、ぐっと堪えた。
この場面に涙は相応しくない。
かわりに思いきり笑った。
彼も応えてくれて、にこりと幸せそうに笑う。

「プラチナのように、色褪せない時間を、これからは共に過ごすんだ」

誓いに、私の左薬指に口づける。
周りから祝福の声が溢れ、それにつられたかのように涙が零れた。







2011/12/4
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