「なな、リッド!これ何か?」
メルディが指差したそれは、自分の知らない花を詰めた小さな袋。
ファラが似たようなもの持っているのを見たことある。
「ああ、ポプリだよ」
「ポプリ?」
「んー詳しいことはわかんねぇけど。ほら、匂ってみ」
メルディはポプリを手に取り、恐る恐る鼻に近づける。
「わぁ……」
浮かんだ表情だけで、メルディの気に入る香りだったとわかる。
柔らかな笑顔を浮かべながら、何度も何度も繰り返し、そのうち鼻にポプリがくっついちまうんじゃないかなんて。
「気に入ったなら買うか」
「ほんとか!?嬉しいよー」
ずっと持ってたら、メルディに匂い移るかな、なんて嬉しそうに笑って。
「リッドのも買って、おそろいな!」
男が持ってても仕方ないから、いつもならそんな誘い即断るけど。
彼女の匂いになるだろうソレに包まれるなら悪くないか。
2011/11/1
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