夢を見た。

とてもとても、幸せだった。





二人寄り添って(ソルside)





今日も朝から良い天気。
いつもと変わらない暖かな日。
今日こそはのんびり過ごしたい。

そう思ってソルが部屋でうとうとしていたら、響くノックの音。

「ソルさん、いますか?」

アヤだ。
やっぱり、と思いつつもドアを開けた。次に出てくる彼女のセリフは予想済み。

「リプレさんのお手伝いしましょう」

ソルは溜息をついた。





リプレに頼まれた仕事も終わり、今度こそのんびりしようとアルク川にやって来た。
ここはいつでも穏やかだ。
草むらで横になる。
暖かな日差しが心地よくて、ソルはいつの間にか眠っていた。





目を開けると、そこは一面花畑。


あぁ、夢か。
きれいだな……。

……あれ、歌?
誰かいるのか?


花畑の中心。
そこには美しい黒い髪。


……アヤ?


呼ばれて振り返ったその人は間違いなくアヤ。
彼女はふわりと笑い、俺の側までやってくる。

優しい風と共に、柔らかい彼女の指先が俺の前髪をすいた。

それがとても心地よくて、安心できて。
俺は再び目を閉じた。





「ん……アヤ……?」

ソルは目を覚ました。
隣にはさっきまで夢で一緒にいた彼女が座っている。

「あ、すみません。起こしちゃいましたね」

そう言って微笑むアヤの顔は、ほのかに赤くなっていた。
ソルは不思議そうにアヤを見る。

「いや、いいけど……何赤くなってんだ?」
「え?赤いですか!?」

アヤは両手で頬をおさえた。

「き、きっと日差しが暖かいからですよ!」

どこか慌てた様子が気になりはしたが、まだ少し思考がはっきりしないので深く考えるのをやめた。

「あ〜、そういやちょっと暑くなってきたかも。帰ろうか」

ちょっと名残惜しいなと思いながらも、そう言って立ち上がったソルは、アヤに手を差しのべた。
アヤはその手を取ったが、立とうとはしない。

「ん?どうした?」

ソルは首を傾げた。アヤの顔を覗きこもうと、しゃがんで見ると、彼女の顔は先ほどよりずっと赤くなっていて。

「大丈夫か?」

しかし返事はなく。
ソルが困っていると、アヤは本当に小さな声で言った。

「もう少し……二人でいたい……」

ソルは少し驚いたが、顔を赤らめて言うアヤの姿が可愛くて。





暖かな日差しの中で、素敵な夢を見よう
君と二人で寄り添って……






2010/09/26 加筆修正
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